■戦争の記憶
私の日曜日は、朝6時からの「こころの時代」と「時事放談」から始まります。
といっても、いずれもテーマや顔ぶれを見て、パスすることも多いのですが、今日は、久しぶりに2つとも見ました。
時事放談は野中さんと古賀さんだったので、見るのを止めようと思ったのですが、見てしまいました。
主要テーマは、集団的自衛権でした。
私はお2人への信頼感をどうも持てないでいるのですが、今日のお2人の発言はすんなり心に入ってきました。
野中さんはもっと過去の戦争のことを学んでほしいと言い、古賀さんはいじめと同じで、被害を受けたほうはなかなか忘れないと言っていました。
上垣外憲一さんの『「鎖国」の比較文明論』(講談社選書メチエ)を思い出しました。
この本は20年前に出版された本ですが、最近たまたま目にすることがあり、先月読んだところなのです。
そこに秀吉の朝鮮出兵が、どれほど酷いものだったか、そして朝鮮にどれほどの被害を与えたが書かれていました。
文禄・慶長の役から100年後に書かれた「朝鮮太平記」を引用して、100年を経ってなお、戦争の惨禍の記憶は生々しかったと上垣外さんは書いています。
文禄・慶長の役は、韓国では「和乱」とよばれているそうで、20年ほど前に韓国のテレビの大河ドラマにもなったようです。
そのドラマのもとになった「和乱」も当時、読みましたが、私の理解していた文禄・慶長の役とはかなり違ったものでした。
私たちの歴史認識は、自虐的であろうとなかろうと、一つの見方でしかありません。
相手には相手の見方がある。
しかし、見方はともかく『事実』は一つです。
数日前の朝日新聞でハーバード大学名誉教授の入江昭さんが、こう話していました。
「本当に日本に誇りを持つなら、当然、過去の事実を認めることができるはずです」都議会での野次や石原大臣の金目発言も、すべて自らの「自信のなさ」からのものだと思いますが、安倍首相ももっと自信を持ってほしい気がします。
「様々な角度から深掘りして見ることは大切だが、いつ何があったという事実そのものは変えてはならない。例えば日本人でもトルコ人でもブラジル人でも、世界のどの国の人が見ても歴史は一つしかない。共有できない歴史は、歴史とは言えないのです」
ヒトラーもそうでしたが、劣等生が自信のなさからとんでもない事態を引き起こすことは、なかなかおさえきれないおそれがあります。
野中さんが今朝語っていたように、「人を殺す」ことを強要されることになることへの理解が広がっていないのが残念です。
私には戦争体験はないのですが、改めてもう少し本を読んでみようと思います。
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