■「脱法ハーブ」という概念が理解できない
脱法ハーブを服用して、交通事故を起こす人の報道が多いです。
服用すると意識がもうろうとしてしまう「脱法ハーブ」が販売されているようです。
以前から気になっていましたが、私には「脱法ハーブ」という概念が理解できません。
それで娘にも友人にも訊いたのですが、私が理解できる回答はまだ得られていません。
「脱法ハーブ」って、いったいどういうものなのでしょうか。
言葉の意味として、法律による規制の対象にならないことが「脱法」という意味のようですが、そうであれば、ほとんどのハーブが「脱法ハーブ」でしょう。
毎日私が飲んでいる緑茶も、その一つと言ってもいいでしょう。
でも緑茶やアップルティは「脱法ハーブ」とは言わないでしょう。
ということは、「脱法ハーブ」の「脱法」とは「法が規制するのと同じ効果をもたらすにもかかわらず、法規制の対象にはできない」ということなのでしょうか。
ここで忘れられているのは、ハーブに関する法規制の目的です。
法には必ず立法の目的があります。
その目的を達成するために、法はつくられます。
にもかかわらず、法ができると、それが基準になって考えるようになります。
つまり、本末転倒した状況を生み出しかねません。
脱法ハーブの問題は、そうしたことを明らかにしてくれます。
いわゆる「脱法ハーブ」が問題なのは、成分が法の規制の対象になっているかどうかではなく、それを服用すると問題が発生するということです。
法律の条文に明記されていなければ許されるわけではありません。
意識障害を起こすようなハーブは日常生活のなかでは服用すべきではないのです。
違法とは法律条文に違反することではなく、法律の趣旨や精神に反することです。
ですから、そもそも「脱法」という発想そのものが「違法」なのです。
「脱法ハーブ」などという言葉を使ってはいけないのです。
大学で、リーガルマインドの大切さを学んだ法学部生としてはそう思います。
問題の解決は極めて簡単です。
ハーブの規制を成分で規制するのではなく、効果で規制すればいいのです。
たとえば、「・・・のような成分によって引き起こされるような状況を引き起こすもの」と法文をあいまいにすればいいだけです。
あとはリーガルマインドを持った司法関係者がきちんと対応をすればいいのです。
少なくとも、「脱法ハーブ」などという言葉は、マスコミには使ttうぉしくはありません。
「脱法ハーブ」は、「適法」と考えるマスコミに大きな違和感があります。
私が、「脱法ハーブ」という概念が理解できないことがわかってもらえたでしょうか。
前にも書いたように、言葉には敏感でありたいです。
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