■節子への挽歌2505:赤後寺の千日会
節子
滋賀の高月町にいる節子の同級生だった雨森さんからメールが来ました。
赤後寺の千日会が先週無事終わったそうです。
前にも書いたことがありますが、赤後寺には千手観音像と聖観音像が安置されていますが、いずれも重要文化財です。
この周辺にはたくさんの観音様がいますが、ご住職のいない無住寺も多く、集落の人たちに守られてきているのです。
集落の人たちと観音様の関係が、いつも羨ましく思っています。
赤後寺のすぐ近くには賤ヶ岳がありますが、戦国時代はこのあたりは戦いも多かったため、戦火から守るために、土中や川の中に隠されてきたことがわかるような仏像も少なくありません。
赤後寺の観音様もその傷跡が残っています。
節子がいた時に2回ほど、私もお参りさせてもらいました。
最初に拝観した時には、その痛々しさに驚きました。
その時は、お寺の世話役をされていたのが、節子の叔父に当たる人でしたが、いまでも観音様を守っているのは集落のみなさんなのです。
雨森さんは、最近ずっとそのお役目を引き受けているお一人のようです。
幸せな人です。
赤後寺の千日会法要は有名な行事で、その法要へのお参りは千日分の参拝と同じ功徳があるとされているそうです。
ちなみに、そのどちらかの観音様は、災い転じて利となす「転利(コロリ)観音」といわれ、3回参拝すれば極楽往生できるともいわれているのだそうです。
節子は少なくとも3回以上はお参りしていますので極楽往生していますが、私はまだ2回なので、一度またお参りに行かねばいけません。
雨森さんからのメールによれば、大型台風が心配されていましたが、今年の千日会にも敦賀の姉夫婦はお参りに行ったそうです。
雨森さんはこう書いてきてくれました。
同級生の藤田君と境内で、「今年は節ちゃんの姉さん来られるかなあ、天気も悪いし、歳も我々より上やし」、なんて会話していたら、すぐ「今年も、お参りさせて頂きました」とお見えになりました。雨森さんは今も挽歌を読んでくれているのです。
地元の者とお姉さんと同級生の人とも暫く立ち話に花が咲きました。
「佐藤さんがお寄りになって、さわ蟹取りも、取れなかったでしょう」なんて話もしました。
妻への挽歌は読ませて頂いているのです。
ありがたいことです。
発病後、節子が少し元気になった2年ほどの間、帰郷するたびに、雨森さんご夫妻と何回か食事をしました。
節子は病気になった後、私にいろんな友人を引き合わせました。
私も素直に同行しました。
節子がいつもとても幸せそうだったからです。
幸せそうな節子の隣にいることは、私にも大きな幸せでした。
雨森さんも、節子のおかげでいただいたご縁ですが、そこからさらに広がったご縁もあります。
雨森さんのメールを読みながら、ついついちょっと感傷的になってしまいました。
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