■誰の人生も透けて見える時代
トーマス・フリードマンは、世界的なベストセラーになった「フラット化する世界」のなかで、「誰の人生でも、レントゲン撮影のように透けて見える」時代になってきたと書いています。
そのため、いまや昔のような個人が書く「経歴書」は不要になったと書いています。
確かに今ではネット検索すると、さまざまな情報を見つけられます。
今はまだ、社会的な活動をしている人が中心かもしれませんが、多くの人がフェイスブックやツイッターを通して、ネットの世界にデータが蓄積されだしていますので、そのうち、誰ものデータがネット検索で出てくるかもしれません。
友人関係も調べられるでしょうし、食事の好みさえわかるでしょう。
しかもそこには、本人さえ知らないデータが含まれていたり、事実ではないデータが含まれているかもしれません。
そうなると、生きている生身の本人とネット世界で構成された本人との、どちらが本当の本人かわからなくなってくるおそれもあります。
自分は一体誰なのかを、ネット検索するような時代が来るかもしれません。
そうした認識から、未来社会に関する、さまざまな映画が制作されています。
そこでは、自分さえ知らない自分の未来を、膨大なデータをベースにして、コンピュータが予測してくれるような話も少なくありません。
不気味といえば不気味ですが、生きやすいといえば生きやすい。
すでにそうした生き方を志向している人たちも、少なからず出てきているような気もします。
人類は、科学技術を発達させてきたが、人間そのものは歴史時代になってからはそう変わっていないと言われますが、そんなことはないような気がします。
私が生まれた70年ほど前と比べても、今の人類は果たして同じ生物かと思うほど、私には異質に見えます。
そして、この数年、さらに「変態」が進んでいる。
そんな気がしてなりません。
誰の人生も透けて見えるようになれば、おそらくこれまで積み上げてきた人類の文化は異質なものに変わっていくでしょう。
その予兆を感じます。
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