■節子への挽歌2545:悩みやトラブルがあればこそ人生は豊かになる
節子
この頃、会う人によく言う言葉があります。
「悩みやトラブルがあればこそ、人生は豊かになる」。
最近改めてそう思うのです。
これは、毎晩、今日もまたいつもと同じ1日を過ごせましたと感謝していて節子の考えに反するわけではありません。
何もない人生も豊かならば、悩みやトラブルのある人生も豊かなのです。
節子との別れという大きな体験をしてしまってからは、それ以外のことはみんな「瑣末」にしか感じられなくなっていました。
仮に地球が滅んでも、私はさほど驚かなかったかもしれません。
それほど人生が、とても平板で、退屈になってしまっていました。
感情さえもが弱々しくなっていましたから(今もまだそうですが)、喜怒哀楽さえあまり感じられなくなっていました。
心から笑うことも、心から悲しむこともなくなっていました。
いろんなトラブルや事件にも、何も感じられなくなっていたのです。
節子のいなくなった人生は、実に味気なく、張り合いのない、まるで抜け殻のような人生だったのです。
だから、最近、「悩みやトラブルがあればこそ人生は豊かになる」と感じられるようになってきたのは、感情が戻りだしたと言えるのかもしれません。
そう感じ出したのは、昨年の秋頃ですが、以来、悩みやトラブルに襲われつづけています。
それまでもそうだったのでしょうが、たぶん気づかなかったのでしょう。
気づかないままがよかったか、気づいたほうが良かったか。
これまた難問ですが、気づくようになってしまったからには、逃げるわけにもいきません。
であれば、それをポジティブに受け止めるのは、節子の姿勢でもありました。
問題は、体力や気力の問題があって、悩みやトラブルを楽しめなくなってきたことです。
時に逃げたくもなります。
しかし、悩みやトラブルの先を思えば、逃げるわけにはいきません。
それにしても、「豊かな人生」って一体何なのでしょうか。
今の人生が豊かだと思うのが、一番、良い答かもしれません。
たとえ、節子がいないとしても。
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