■個人を起点とした学校教育
昨日、教育改革に関して書きましたが、パラダイムシフトの改革という点で、とてもわかりやすい事例があります。
一時期、話題になった「きのくに子どもの村学園」です。
この学校は、イギリスの実践的な教育学者のアレクサンダー・ニイルの思想に基づいて設計された自由学校です。
もちろん、文部科学省から学校法人として認可された学校です。
ニイルの基本思想は、「学校という制度に生徒を合わせるのではなく、実際に入学してきた生徒に合わせて学校を設計する」というものです。
ニイルは、子供の幸福こそ、子供のしつけや養育の中で最も重要なものと見なされるべきであり、この幸福への最も主要な寄与は、子供にその個人的な自由を最大限認めてやることだと考えていたのです。
その思想に共鳴した大阪の堀真一郎さんが設立したのが、「きのくに子どもの村学園」です。
書籍もたくさん出ていますし、一時はテレビでもかなり取り上げられたのでご存知の方も多いでしょう。
「きのくに子どもの村学園」には3つの原則があります。
子どもがいろいろなことを決めていくという「自己決定の原則」。
一人ひとりの違いや興味が大事にする「個性化の原則」。
そして、直接体験や実際の生活を学習の中心に置く「体験学習の原則」です。
それを実現する仕組みが、とても魅力的ですが、詳しくは本やネットで読んでみてください。
たくさんの示唆をもらえるはずです。
「きのくに子どもの村学園」を卒業した子どもたちが、どんな社会を目指していくかは、とても興味がありますが、学校全体の実態が目指すべき社会を象徴しているのです。
言い方を替えれば、いじめや競争主義が日常化し、制度に合わせる仕組みに合わせて強制が行われる(たとえば国家斉唱)学校が目指す社会は、明らかでしょう。
つまり、「そうした社会」に順応する人間を育てているのが、今の多くの学校です。
それを前提にするか、それを変えていくかが、教育改革の出発点ではないかと思いますが、それを変えようとする教育改革は、私は耳にしたことはありません。
もちろん、そうしたことを目指す「学校改革」の事例は、「きのくに子どもの村学園」のほかにもいろいろと聞いていますが。
個人を起点とした社会に向けての改革が必要だと考えている私にとっては、世上、言われている教育改革は、方向が反対だと思えてなりません。
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