■節子への挽歌2582:仕方ない。神様がそう決めたんだ。
節子
また思いもよらない人からメールが届きました。
以前、この挽歌を読んで、突然にメールをくださった田口和博さんです。
田口さんは、「小さな村の物語 イタリア」のプロデューサーです。
今回は挽歌とは関係なかったのですが、田口さんからメールをいただいたので、「小さな村の物語 イタリア」の最近、心に響いた言葉を書かせてもらうことにしました。
先月放映された、コッタネッロが舞台になった179話です。
その回の主役は、夫を亡くしたヴァンダさんと妻を亡くしたベニートさんの話です。
それぞれの生き方にたくさんの気づきと勇気をもらえますが、1か月たっても忘れられない言葉が一つあるのです。
それを思い出して、今日また録画していたものを見直しました。
ベニートさんは、奥さんを亡くしてもう8年近くになります。
今も週末だけの理髪店を開き、村人と楽しく過ごしていますが、夜になると亡くなった奥さんを思い出すと言います。
夜になると妻を思い出す。
目の下にそばかすがあるとか、そんなことを思い出す。
まるでそこにいるように思い出す。
すると僕は眠れるんです。眠気がやってくる。
彼女は本当にいい妻だった。
涙もでないほど…
とこう言って、ベニートさんは涙ぐみます。
そのシーンに、私は心がふるえましたが、心に残ったのはしばらく間をおいて発せられた次の言葉です。
残念だけど彼女はもういない。
仕方ない。神様がそう決めたんだ。
残念だけど、神様がそう決めたんだ。
神様がそう決めたのであれば、それには意味があるのだろう。
いつかその意味が、わかる時が来るかもしれない。
仮に、わからなくても、それはそれでいいのではないか。
最近、私もそう思えるようになってきたのです。
それにしても、この番組は、引き出し上手です。
普通の人から、実に深遠なメッセージを引き出します。
有名人の言葉にはあまり共感しない私も、この番組に登場する普通の生活者の言葉からは、多くのことを気づかされます。
やはり長く人生を生きることで得るものはたくさんあるのでしょう。
翻って、私自身を顧みると、あまりにも浅薄な言葉しか出てこないのが恥ずかしい限りです。
この番組は最後に毎回、しめくくりのナレーションが語られます。
今回のメッセージはこんな内容でした。
心の奥にある引き出しから、思い出がひょっこり顔をのぞかせる。
無理に引き出しを閉じなくてもいい。
たまには眺めていればそれでいいのだ。
たまには眺めていればいい。
そうなのですが、しかしそれはとても難しいことなのです。
ベニートさんの涙ぐんだ表情が、やはり忘れられません。
今日は眠れるでしょうか。
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