■心身を治癒する知恵と制度化された医療
4日前に「健全な老化」について書いた時に予告しておいた、「制度化された医療」と「生活のなかでの治癒」について少しずつ書いてみます。
前にも書いたように、井上芳保さんの「つくられる病」を読んで思ったことです。
井上さんも、その本の中で書いていますが、心身に異常が発生した時、生活を変えることで対処してきたのが、数十年前までの医療でした。
普通の生活の中で自分を治癒する知恵。
風邪かなと思ったら、あったかな飲み物で身体を温めて早く寝る、とか、気分がめげたら気のおけない友だちと会う、とか、疲れたら栄養剤など飲まずにゆっくり入浴して十分の睡眠をとる、などです。
ところが、そうした知恵に代わって、「制度化された医療が生活を覆い尽くすようになっている」と井上さんは指摘しています。「薬漬けにしていく動きに、実は私たち自身もまた加担している」というのです。
まさにその通りで、私自身も、そうした動きに加担していることは間違いありません。
それは、心身の不具合は医療の「専門家に任せよう」という、近代共通の発想です。
不具合は治すものではなく、治してもらうものになってしまっています。
私も、薬は嫌いと言いながら、病院に行って薬をもらえないとちょっと物足りない気がします。
風邪薬はわが家の常備薬になっていますし、栄養剤やサプリメントも飲んでいます。
8月にのどの調子が悪くなりました。
フェイスブックでどうしたらいいか、投げかけました。
いろんな人がアドバイスしてくれましたが、市販の薬を勧めてきてくれた人もいますが、いわゆる民間療法のアドバイスが半分以上でした。
いずれも試してみましたが、いずれもたぶん効果がありました。
心身に異常が生ずるということは、環境との関係性において、心身がついていけなくなったということでしょう。
心身の異常は、心身がSOSを出しているのだとよく言われますが、その解決策は2つあります。
ひとつは、心身を補強すること。
もう一つは、環境に追いつくように心身の回復を待つことです。
前者は、時間を時計に合わせることであり、後者は時間を心身に合わせることでもあります。
治療せずに、治癒を待つと言ってもいいかもしれません。
そういう生き方を目指そうと、改めて思い出しています。
ちょっと遅すぎたのですが。
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