■会社制度を創ったのはだれだ!
一昨日、若手起業家たちの集まりのパネルディスカッションがありました。
私は、コーディネーター役でしたが、パネリストのお一人は、障害者雇用で有名な株式会社アイエスエフネットの社長の渡邉幸義さんでした。
渡邉さんは実にわくわくするような話をしてくれました。
他のお2人も実に魅力的な人でしたが、話し合いの中で、渡邉さんが私に質問してきました。
それも簡単に答えられる質問ではありません。
渡邉さんは、今の会社制度には大きな異論があるようで、会社制度(ルール)をつくったのは誰だと怒っているのです。
そして、その矛先が私に向いてきて、誰ですか?と投げかけてきたのです。
私は形にはまった報告型のパネルディスカッションは大嫌いですが、話し合うという本来のパネルディスカッションは大好きです。
特に、コーディネーターが好きなのです。
退屈なコーディネーターの進行でのパネルディスカッションは苦痛ですので出たくはないのですが、コーディネーター役であれば、万難を排して参加させてもらうようにしています。
しかし、パネリストの人から、こんな大きな質問を受けたのは初めてです。
しかし、渡邉さんの怒りには、実に共感できます。
会社制度は歴史的には東インド会社が始まりだと言われます。
しかし、もちろんそんなことを渡邉さんは訊いているのではありません。
渡邉さんの怒りの起点は、もしかしたらドイツのビスマルクかマックス・ウェーバーかもしれません。
あるいはピーター・ドラッカーかもしれません。
知識もないのに、あんまりいい加減なことを言うのも無責任ですが、ウェーバーの有名な「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」はどうも違和感があります。
ウェーバーは、20世紀が武力闘争のエトスに覆われることを危惧しながらも、近代における組織モデルは、軍隊にあると主張していました。
20世紀後半になって、ミルトン・フリード-マンのような人に、いや、合理的モデルは市場だと言われだすまでは、たぶんそれが世界の基本になっていたはずです。
企業経営の世界は、まさに軍隊モデルによって、企業制度をパワーアップしてきたのです。
同時に、経済そのものの方向付けもしてきたと言えるかもしれません。
経営の世界に「戦略」という言葉を導入したのは経営学者ドラッカーだそうですが、ドラッカーの頭にもまた「戦闘」の概念が強くあったのかもしれません。
渡邉さんの質問には答えられていないでしょうが、ドラッカーへの異論を持つ私にとっては、渡邉さんのような経営者がいることを知っただけで、感激した次第です。
会社経営の「常識」に呪縛されて、経営を忘れてしまった経営者と経営学者には、もう飽き飽きしてきています。
一昨日の3人のパネリストはいずれもそんな人ではありませんでした。
ほかの2人は、㈱GHIBLIの坪内知佳さんとカネパッケージ㈱の高村賢二さんでした。
3人の共通した意見は、制度に合わせる経営はしたくないということでした。
制度は、みんなで見直しながら育てていかなけてはいけません。
守るだけでは呪縛になります。
3人にお会いできて、少し元気が出ました。
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