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2014/12/02

■柳田國男の願い

日本で普通選挙法が成立したのは1925年です。
当時、朝日新聞の論説委員の一人が、「遠野物語」で有名な柳田國男です。
柳田國男は民俗学で有名ですが、彼は「経世済民の学」でした。
これに関しては、藤井隆至さんの「柳田國男 経世済民の学」(名古屋大学出版会)という素晴らしい著作があります。
今回の選挙で、それを思い出しました。

同書によれば、柳田は、「生活苦」を救うのは政治であり、よい政治のためには国民がよい学問を身につけて選挙に臨むことが必要であると考えていたようです。
柳田はまた、普通選挙が必ず金権政治、利権政治に向かうとも考えていました。
だからこそ、若者の教育が大事だと考えたわけです。
柳田は、そうした政治の腐敗を避けるためには、「民衆もまた大いに覚るところがなければならぬ」とし、「自主的な判断力、政治的な判断力をもつ有権者をつくりあげていくという方法」を考えなければいけないと考えました。
彼はこう書いています。

「宣伝の巧拙によって左右せられず、標語の外形実に誘惑せられることなく、まったく一人の独立した判別をもって、進まんと欲する途を選ぶべきは無論であるが、さらにそれ以上に大切なることは、いわゆる己の欲せざるところをもって、これを人に施さざるの用意である。」

「それ以上に大切なること」とは、「社会全体の大局的な観点、換言すれば「国民総体の幸福」という観点で候補者を選ぶことを指す」と藤井さんは解説しています。
ちなみに、「国民総体の幸福」というのは、経世済民の学徒である柳田の目標です。

柳田はまた、国民の政治参加といっても、それは選挙のときだけの政治参加にすぎないことも指摘しています。
だからこそ、選挙は大事なのです。

柳田は、「個々の政治問題を「国民総体の幸福」という観点から自主的に判断できる国民を創出していくことを強く願わないではいられなかった」と藤井さんは書いています。
柳田の願いはかなえられているでしょうか。
それが今度の選挙で少し見えてくるような気がします。

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