■真実を語れるのは体験者だけです
昨日に続いて、4日のサロンでの発言をもう一つ。
サロンには福島で仕事をされている方が参加されました。
福島の原発事故の後、自らが線量計を24時間装着した生活をずっと続けています。
そのデータを踏まえて、事故後の福島の状況に強い危機感をお持ちです。
湯島でも何回か、報告をしてもらいましたが、今回のサロンに参加した人たちにとっては初めて聞く話も多かったようで、質問攻めで、やむなく途中で話題を変えなければいけなくなったほどでした。
そして、ある人が、そうした実情はどうしたら入手できるのかと質問しました。
その方は、それはここの湯島サロンですよ、と応じました。
そのやりとりで、私はふたつのことを思いました。
まず、福島原発事故後の福島の状況について、あまりに情報がないということです。
というよりも、意図的に事実を隠すために、違うところに焦点を当てた情報がマスコミによって広げられているように思います。
真実を隠す最良の方法は、情報を知りたい人が望むだろう情報をどんどんと流すことです。
別に嘘をつかなくとも、真実のある部分を切り取って編集して流せば、正反対の印象を与えることなど、そう難しいことではないのです。
人は、聞きたいこと聞き、見たいものを見るものですから。
福島の被災地ツアーに参加しても、みんな同じものを見てくるわけではありません。
大切なことは、事実はできるだけ直接に見聞することでしょうが、まずはその姿勢を持つこと、少なくとも与えられる情報ではなく、自分で調べようとすることです。
もうひとつは、情報を入手できるのは「ここの湯島サロン」という意味です。
その気になれば、そういう場所はつくれるのだというのが、その意味でしょう。
直接福島に知り合いはいないとしても、周りを探せば、事故後の福島を体験している人は必ず見つかるはずです。
その人が東京に出てきた時に、その人を囲んで話を聞く場をつくることは難しいことではないでしょう。
そういう場はすでにたくさんありますが、もっともっと増やしていくことが大切です。
それも講演会ではなく、相互に話し合い確認しあえる場です。
そして、そういう場をつくる人が増えてくれば、もっともっと多くの人が福島の現実を知ることになるでしょう。
原発事故問題に限らず、そういうサロンが日本全国にどんどん広がれば、日本は変わっていくでしょう。
少なくとも、たくさんの道があることに気づくことができるでしょう。
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