■節子への挽歌2732:悪いニュース
節子
出鼻をくじかれました。
ようやく動き出そうとすると何かが起きます。
神様は私に重荷ばかりを背負わせます。
どうしていつもいつもこうなのでしょう。
恨みたくもなります。
「悪いニュースや」
いつものような声で、電話は始まりました。
悪いニュースには慣れていますので、どうせ大したことではないだろうと次の言葉を待ちました。
「このままだと1週間、長くて余命6か月だと言われたよ」。
一瞬、心身が凍りつきました。
彼らしく、淡々と話します。
電話の主は、死ぬことにはそうこだわっていない友人です。
今週にでも会う予定の友人でした。
彼の言葉に合わせて、何か言わなければいけないと、あまり的確とは思えない言葉を次々に発してしまいました。
正直、おろおろしてしまったのです。
話しているうちに少し落ち着いてきました。
相手ではなく私がです。
ようやく私も自分を取り戻しました。
自分のことだと大丈夫なのだが、やはり人のことになるとおろおろしてしまうものだね。
そういうのが精いっぱいでした。
この言葉だけが真実で、ほかのたくさんの言葉は無意味な言葉だった気がします。
こうした場合によく使われる言葉の羅列です。
そんな言葉は当事者には無意味どころか、むしろマイナスだというくらい、私もわかっているのですが、何か言葉を発しないと落ちつけなかったのです。
その人の夢の実現に、私も少し応援するつもりでした。
その話をつい少し前にしたばかりでした。
しかもその実現に向かって動き出そうとしていた矢先です。
衝撃以外の何物でもありません。
前にもこんなことがあったなと思いだしました。
黒岩さんのことです。
しかも同じ病気です。
昨日は来客やらサロンで考える時間がなかったのですが、
終わって一人になって、またドシンと衝撃に襲われました。
彼にどう話したらいいでしょうか。
まだおろおろしています。
電話もかけられない。
今朝起きても気分が静まりません。
私よりも一回りも若いのに、なにをやっているのかと、彼を蹴飛ばしたい気分です。
付け加えれば、その電話の後、もう一人、今日会う予定だった人から連絡がありました。
余命6か月ではないですが、こちらもそう簡単な話ではないようです。
会うのを延期しました。
なんでこうも次々と悪いニュースが届くのか。
私は、前世でいったい何をしてしまったのでしょうか。
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