■節子への挽歌2724:宝蔵院
節子
今日は久しぶりに宇治の萬福寺に行く予定でしたが、途中についつい平等院と宝蔵院に寄ってしまったら、約束の時間に間に合わなくなりそうになってしまい、肝心の萬福寺は三門だけの見学に終わってしまいました。
しかし、宝蔵院ではとてもいいものを見せてもらいました。
ここは有名な大般若経の版木が6万枚も保存されていて、いまも実際に手刷りされているのです。
版木は300年以上前のものです。
ちょうど経蔵の片隅で手刷りをされていたので、見学させてもらいました。
刷り師は矢部さんという方で、もう30年ほどやっているそうです。
注文を受けてするのだそうですが、1枚ずつ丁寧に刷っていました。
今回の注文は4000枚だそうです。
気が遠くなる枚数です。
それを見ながら、黒岩さんもきっとこの風景を見たのだろうなと思いました。
黒岩さんは五木寛之さんの「百寺巡礼」の編集をされていましたから、きっと五木さんに同行されているはずです。
「百寺巡礼」には この宝蔵院の版木のことが書かれていたのを覚えています。
以前、太宰府の観世音寺に行った時も、そこに「百寺巡礼」の本が置いてあったので、同じようなことを思いだしたことがあります。
黒岩さんが彼岸に行って、もうどのくらいでしょうか。
彼岸で節子と会っているでしょうか。
宇治の平等院は、改修工事が終わっていて、とてもきれいになっていましたので、私の好みとは違っていました。
そのせいか、節子と一緒にきた時の記憶がうかんできません。
最近、どこの寺社も観光地もどんどん綺麗になってきています。
それはいいことかもしれませんが、なにか時間の流れが切れてしまうような気もします。
風景があまり変わらないうちに、節子と一緒に行ったところをまわってみるのもいいかもしれません。
でもがっかりすることになる恐れが多いでしょう。
節子がいなくなった後、日本はなぜか急に大きく変わり出したような気がするのは気のせいでしょうか。
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