■保険の社会化は「保険の消滅」をもたらす
昨日、共済研究会のシンポジウムでした。
そこにパネリストの一人として参加させてもらいました。
共済研究会は、「共済の歴史や文化を学び合うとともに、協同組合共済や自主共済、助け合い活動について、研究・交流するため」に、2006年5月に発足した個人の自主研究会です。
私も、友人に誘われて、しばらく参加していました。
私が共済の興味を持った経緯は、ホームページに以前書きました。
http://homepage2.nifty.com/CWS/katsudo06.htm#0621
会を抜けた経緯も、たぶんどこかに書いています。
今回のシンポジウムの全記録は「賃金と社会保障」という雑誌に収録されます。
それを踏まえて、私の10分間のキースピーチは、ともかく雑誌に記録してほしくて、盛りだくさんの内容にしてしまいました。
ともかくキーワードを話しておけば、雑誌に収録されるときに補足説明しても嘘にはならないからです。
しかし、盛り込みすぎて、うまく話ができずに昨日は落ち込みました。
それに早口だったので、あまり伝わらなかったでしょう。
説明しませんでしたが、配布したレジメに、共済の目指すところは共済事業の消滅だと書きました。
私は、ビジネスの究極的な目標は「自己消滅」だと考えています。
近代の産業の論理は、「自己増殖」ですが、それでは社会はよくなりようがありません。
私が「近代産業のジレンマ」と呼んでいる現象です。
http://homepage2.nifty.com/CWS/message14.htm
制度がもし、社会の不都合を正すためのものなら、当然、不都合をなくすことに注力すべきだからです。
不安があるから「保険」や「共済」が求められるのですが、不安がなくなれば、つまりみんなが助け合い支え合う社会であれば、保険も共済もいらないのです。
このことに、実は制度やビジネスの本質が垣間見えますが、誰もそんなことは考えもしません。
私には、それが不思議でなりません。
ただ、私の考えだと経済成長も事業拡大も否定されかねません。
もちろん私はそうは考えていませんが、説明しだすと長くなりそうなのでやめます。
関心のある方は湯島にお越しください。
このレジメをまとめた後に知ったのですが、80年ほど前に「保険の社会かは保険の消滅」と書いていた人がいました。
小林北一郎という人です。
青山学院大学教授の本間さん(今回のシンポジウムの企画者です)が40年前に出版した「社会科学としての保険論」に紹介されています。
本間さんは、今回のシンポジウムの基調講演でも、そのことを紹介されました。
保険の社会化は保険の消滅。
ここには資本主義経済社会を超えていくヒントが含まれています。
自己消滅か自己増殖か。
自己消滅は言い換えれば新しい自己創出です。
私には、気づきの多いシンポジウムでした。
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