■お金、お金、お金
このブログで、しばらく「城里町の庁舎移転」から学ぶことを書いていますが、その活動が示唆していることの重要性を感じさせる事例は、しばしば報道されています。
たとえば、今日の朝日新聞の報道によれば、人口減少に直面している島根県浜田市では、
4月から破格の条件で県外のひとり親家庭を迎えることにしているそうです。
新聞によれば、月給15万円以上、中古車無償提供、一時金130万円。
条件は、親が介護現場で働くこと。
経済支援は1年限りですが、1世帯あたりの支援は最大400万円を超えるそうです。
ほかに、転居費などの一時金が30万円。
月給は最低15万円の月給のほか、市から養育費が月3万円。
契約通り1年間働けば、さらに一時金100万円が出るそうです。
住居は市が家賃月1万~3万円の公営住宅を確保し、空きがなければ民間の賃貸住宅を紹介し、2万円を上限に家賃の半額を補助するといいます。
車がない人にはネッツトヨタ島根が中古のコンパクトカーを無償提供。
過疎高齢化が進む浜田市の担当者は「保育所の待機児童はほぼゼロ。豊かな自然環境で子育てができる」と呼びかけています。
なんだか夢のような話ですが、この種の話はほかにもあると思います。
ひとり親家庭の住みにくい時代ですから、こうしたことが悪いとは思いません。
そういう選択肢があるだけで、安心する人は少なくないでしょうし、この制度で、いい意味で生き方を変えるチャンスを得る人もあるでしょう。
地域も元気になるかもしれません。
にもかかわらず、私はさびしくて悲しい気がします。
「お金、お金、お金」というイメージが拭えないのです。
札束で地元を黙らせて、原発を建設した話を思い出します。
もちろん原発の場合とはまったく違う話です。
要は、過疎化を避けたい自治体が、何とかして住民を増やすために、地域みんなで引っ越してきた人たちを支えようという話と受け止められるかもしれません。
しかし、私には何か違うような気がします。
もし私なら、転居者に金銭支援するのではなく、いまの住民たちが住みやすくなるにはどうすればいいかの知恵を、住民みんなで考えるようにします。
住民たち(行政職員ではありません)が豊かに幸せに住んでいる地域には、引っ越したくなる人も出てくるでしょう。
それでこそ、地域の生活は豊かになる。
お金の魅力で人を呼ぼうという発想が、私にはとても哀しくさびしいのです。
これまでの行政の発想や施策への問い直しがなければ、一時的には効果が挙げられても、おそらくますます事態は悪化するだけではないかと、他人事ながら心配です。
お金に依存していて、良いことはないのではないか。
私は、そう思っているので、悲しくてさびしく感ずるのです。
城里町の人たちから学ぶことはまだまだたくさんあります。
明日からまた「城里町シリーズ」を再開します。
| 固定リンク
「行政時評」カテゴリの記事
- ■ふるさと納税制度の罪深さ(2023.01.10)
- ■行政と住民の不信感(2021.10.01)
- ■「ちょっと気になることを話し合う場サロン」も大切かもしれません(2021.07.02)
- ■自治体行政の仕事の邪魔をしているのは私たち住民かもしれません(2021.06.27)
- ■理念は現実の先にある(2020.11.02)
コメント