■軍隊は人を殺すための装置です
人は自らの行動を参照しながら、他者の行動を予測します。
そして、他者の行動を、自らの価値観で評価します。
ですから、他者を理解するには、その人が他者をどう見ているかで見えてきます。
ジョン・ダワーの「忘却のしかた、記憶のしかた」(岩波書店 2013年)を先月読んだのですが、ショックを受けたことがあります。
これまで思ってもいなかった指摘です。
手元に同書がないので、正確には書けませんが、こんな内容です。
敗戦後、アメリカの占領軍が日本にやってきました。
日本の男性たちはパニックを起こし、占領軍が日本人をレイプ(略奪・強姦)するという噂が流れたと言います。
それに関して、ダワーは、それは日本の男性たちが、兵士として海外でそういう行動をとっていたからだというのです。
なぜか本を読んでから1か月も経つというのに、その文章が忘れられません。
「戦争するってどんなこと」という中学生向けの本を、友人に勧められて読みました。
C・ダグラス・ラミスさんの本です。
とてもわかりやすく、たぶん「おとな」でもわかるようにやさしく書かれています。
蛇足ですが、前の文の「おとな」は「子ども」の書き違いではありません。
大人の理解力は、子供より劣っていると、私は確信しています。
それはそれとして、そこに19歳で沖縄戦を経験した大田昌秀さんのインタビュー記事が載っていました。
日本軍が沖縄の人を守るどころか、殺害も含めてひどいことをしたことが証言されています。
ショックでした。
ラミスさんは、軍隊が国民を守るというのは幻想だというのです。
軍隊は、国民を守るはずがありません。
なぜなら軍隊における人間観が「人を守る」という理念を失っているからです。
平和学の泰斗である石田雄さんの最新の著書「ふたたびの〈戦前〉」を読み出しました。
いまさらながらたくさんの気づきをもらえます。
軍隊は、国家を滅ぼすだけではありません。
人を壊すのです。
安保法制で多くの憲法学者が「違憲」を唱えています。
しかし、政府は「違憲」ではないと言っています。
軍隊をつくろうとするだけで、人は壊れてしまうのかもしれません。
人間だったら、人を殺す装置など作ろうとは思わないでしょうから、当然と言えば当然ですが。
明日、もう一度、つづきを書きます。
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