■「70年の不戦」その10:私にとっての「平和活動」
不戦サロンの報告をするつもりで、このシリーズを書き出したのですが、途中いろいろあって、最初の思いとかなり違ったものになってしまいました。
サロンでは、他にも「平和活動におけるエンターテイメント要素の大切さ」「男性と女性の考え方や行動の違い」「戦争の原因はすべて経済問題ではないか」「教育の恐ろしさ」「子育てと母親の役割」など、さまざまな論点が出たのですが、時間が経ったため、書こうというモチベーションが出てきません。
それで最後に、「私にとっての「平和活動」」について、書こうと思います。
サロンに参加した女性参加者の宇賀さんは「私にとっての平和活動は、農業であり福祉に取り組むこと」と話されました。
ここに、女性と男性の「戦争や平和」に対するとらえ方の違いが象徴されています。
もう10年ほど昔になりますが、さまざまな市民活動を対象に「平和への結集」を実現する会の準備会が開催されました。
呼びかけ人のお一人は小林正弥さん(政治学者)で、小林さんの人柄と考えに共感して参加させてもらいました。
その時の自己紹介で、私もまた、私の平和活動は「大きな福祉を目指す活動」と話させてもらいました。
その会は、その後、さまざまな活動を展開していますが、私はあまり参加できていません。
http://cws-osamu.cocolog-nifty.com/cws_private/2006/01/post_9e20.html
その会の呼びかけで、ピースウォークにも参加しました。
一緒に歩いた小林さん(たまたまその時は最初の参加者は私たち2人だけでした)と、これまでのようなスタイルのデモではなく、楽しいデモにしたいですね、などと話したのを覚えています。
小林さんは、「楽しい平和活動」を提唱していました。
http://homepage2.nifty.com/CWS/katudoubannku2.htm#1223
ピースウォークも次第に音楽やストリートパフォーマンスなどともつながっていきました。
私にとっての平和活動はもう一つあります。
小林さんと知り合ったのは、小林さんたちが出版した『地球的平和の公共哲学』を購読しようという呼びかけを勝手に始めたのが契機になりました。
http://homepage2.nifty.com/CWS/heiwa-net.htm
生活レベルでの平和活動や楽しい平和イベントも、あるいは政治的なデモ活動も大切です。
しかし、それと並行して、事実を解明する専門家の活動を支援していくことも大事です。
専門家の活動の支援とは、その知的成果をきちんと学ぶことです。
事実を知れば、人の言動は変わってきます。
ですから、中途半端にではなく、きちんと学ばねばいけません。
8月に平和学の大御所のヨハン・ガルトゥングが来日するそうです。
http://www.huffingtonpost.jp/kenji-sekine/japan-positive-peace_b_7651094.html
安倍首相の「積極的平和主義」に対して、彼は「私が1958年に考えだした「積極的平和(ポジティブピース)」の盗用で、本来の意味とは真逆だ」と明言しています。
生活における平和活動やデモも大切ですが、人類の蓄積してきた知の世界から学ぶことも大切です。
つまり、私の「もう一つの平和活動」は、できるだけ幅広い読書です。
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コメント
佐藤様
こちらには初めての訪問です。
「生活レベルの平和活動」と「専門家の知的成果を学ぶ幅広い読書」―どちらが後先もないのですが、両輪としてできれば理想だと思います。
そして佐藤さんはそうした生き方をされていらっしゃる!
私は現在、古今東西の知的成果を学ぶ読書と、現在進行形で発信している専門家たちの言説に講演会などを通じて直接触れることに重点を置いた生活です。
映画やアートからの気づきもとても多いと感じています。
確かに知ることによって考え方に多くの補助線が引かれるようになり、ますます世界も人間も多様で複雑であることを実感することになります。
それは人間の素晴らしさと愚かさを同時に知ることであり、時にとても苦しくもなるのですがもはや止めることはできません。
さらに自分の言葉で語ることができるようになることが重要です。それには「中途半端にではなく、きちんと学ばねばいけません」―ですね。そこは常に反省です。
ただ現実は待ったなしの状況で焦りもあります。でもそれにも専門家は長期戦の心構えも必要ですと示唆してくれました。「慌てず、焦らず、諦めず」と。
投稿: patti | 2015/07/05 21:06