■自らの生き方に「毎日、真剣に向き合う」こと
7月30日の朝日新聞の「ザ・コラム」に上田俊英さんが「原発拒んだ女性たち」という記事を書いていました。
岩手県の三陸沿岸北部の田野畑村(人口3700人ほど)の話です。
1981年に、この小村では原発立地の是非をめぐって、村人が二分された歴史があるそうです。
この地が、原発立地の「有力候補」になったのです。
反対運動の中心になったのが、岩見ヒサさん。
岩見さんによれば、「村の男の人たちは、ほとんどが賛成」だったそうです。
当時、村の予算規模は20億円ほどでしたが、原発が建設されれば「31億5千万円」が交付されると言われていたのです。
しかし、岩見さんたちの反対運動が奏功したためかどうかはわかりませんが、原発は立地されませんでした。
そのおかげで、いまは自然が、村の観光を支えています。
この田野畑は、江戸時代、「一揆」の地でもあったそうです。
江戸時代に大きな一揆を率いた人の5代目の子孫の畠山さんは、原発反対を訴えていたころの岩見さんのことをよく覚えていて、「岩見さんたちは毎日、原発の問題と真剣に向き合っていた」と言っています。
「毎日、真剣に向き合う」。
つまり、反対運動というよりも、生き方を問い質すということです。
この姿勢が大事なのでしょう。
畠山さんによると、一揆の精神の原点は「勇気」「情熱」「団結」だそうです。
その精神があのとき、村の女性たちの心の中で花を咲かせていたのではないかと畠山さんは言います。
「大切なのは、金だけではない。原発ができていたら、われわれはいま、遠くに避難しているのかもしれない」という、奥山さんの言葉にもっと私たちは耳を傾けるべきです。
この話は大きな示唆を与えてくれます。
大切なのは私たちの生き方です。
原発を立地させたのも、そこに住む(広い意味では日本に住む)私たちの生き方です。
戦争を起こすのも、同じことかもしれません。
自らの生き方に、私たちは、「毎日、真剣に向き合う」ことが大切です。
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