■節子への挽歌2838:こんな時代を見なくてすんだ節子がうらやましい
節子
気が滅入っている中、またTさんから長電話をもらいました。
テーマは、いまの違憲と言われている安保法案についてです。
この種のてーまは、時に1時間を超すので、切り上げたいと思いながらも、ついつい挑発に乗って、長くなってしまいます。
困ったものです。
長電話している余裕がないのだけれど、と嫌みを言うと、Tさんはすかさず、気分転換になるだろうと思っての電話だというのです。
いやはやありがたいことです。
有難迷惑だと言いたいところですが、半分はTさんが言う通りなのです。
たしかにいろんな意味で気分転換になる。
Tさんは、私の友人の中では節子が一番よく知っている一人でしょう。
私以上に不躾なところがあって、ずかずかと人の心に入ってくるですが、嘘をつくことがないので、私も節子も、気が許せるタイプなのです。
お互い不躾なので、時々、絶縁状態になるのですが、まあ1年もすれば、以前と同じになります。
まあお互い、もう先はそう長くないので、まあこれからは絶縁状態にはならないでしょう。
問題は、どちらが先かですが、彼には先に逝ってもらいたくはありません。
私は彼の葬儀にはいかないつもりです。
というか、もうこれ以上、他者の葬儀には行きたくないのです。
だからみなさん、私よりは先に逝かないようにしてください。
私は、誤解されかねませんが、昔から結婚式は嫌いでしたが、葬式は好きでした。
そこに真実があるからです。
葬儀の場に流れている時間が、とても好きだったのです。
その時間は、彼岸ともつながっている。
もちろん過去とも未来ともつながっている。
そんな時間だったからです。
しかし、節子の葬儀のあと、葬式も心やすまる場ではなくなりました。
具体的には説明できないのですが、なんとなく居心地がよくない。
何人かの葬儀に行きましたが、居場所が見つからないのです。
そのため、最近はできるだけ葬儀には行きたくないのです。
安保法制の長電話から葬儀の話になってしまいました。
しかし、テレビを見ていると、日本の平和で豊かな社会も、どうも終わってしまったようです。
こんな時代を見なくてすんだ節子がうらやましいです。
来世は日本には生まれたくありません。
彼岸に行ったら、節子と相談しなければいけません。
たぶん意見は合わないでしょう。
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