■節子への挽歌2889:27リットルの荷物
節子
まもなくサンチャゴ巡礼に旅立つ鈴木さんから、メールが来ました。
パッキングを準備中です。 モノの山を見るとすべてが27リットルにおさまるとはとても思えません…。 これから本当に必要なものだけに削っていくのが修行ですね。
8月中旬から、2か月半の予定で、フランスからスペインのサンチャゴ巡礼に出かけるのです。
すべての所持品を27リットルのパックに詰めていくそうです。
そこで、何を選ぶかが大切になってきます。
パソコン類を持参するかどうかも検討していましたが、かなり早い時期に持参は止めたそうです。
ですから巡礼中は、連絡はほとんどつきません。
最近は、巡礼路にもネットカフェもあるそうですが、結構、場所の確保が大変だそうです。
鈴木さんは、もともとライターの仕事をされていましたので、本当はしっかりと巡礼記を残してほしいのですが、記録のためのノートも、大きさと重さを考慮して厳選したようです。
鈴木さんの紀行文は、とても面白いので、ぜひとも読みたい気がしますが、書くために歩くのではないので、本にしてくれるかどうかはわかりません。
本当に必要なものを選ぶ。
鈴木さんは、以前からかなり身の回りの所持品を減らす生き方をしています。
独身ですので、比較的自由とはいえ、実家には母親もいます。
完全に独り身とはいえません。
勤務先は先月、退社したのですが、その面は心配ありません。
しかし、2か月半の人生を支えるために「必要なもの」を選ぶということは、自分の生き方を捉え直すということでしょう。
鈴木さんは、何を選ぶかをきっと楽しんでいるはずです。
しかし、すべてを置いて、2か月半、歩き続ける、
うらやましい贅沢です。
大きく変化して戻ってくるでしょうか。
いや、たぶん、ますます「鈴木さんらしく」なって戻ってくるでしょう。
2か月半で、きっと「本当に必要なもの」でないものに気づき、それを棄てて、ますます純な鈴木さんになってくるはずです。
巡礼路を歩くと人は、「本当に必要なもの」に気づいて、身軽になる。
俗世間を俗に歩いている人は、「必要でないもの」をたくさん背負い込んで、生きにくくなる。
最近、巡礼者が増えているそうですが、みんなきっと背負い込みすぎてしまったのでしょう。
27リットルの荷物。
私なら、何を選ぶでしょうか。
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