■節子への挽歌2929:お布施のご馳走
節子
武田さんにご馳走になってしまいました。
貧乏な佐藤さんに、たまにはちゃんとした寿司を食べさせたいと言って、お寿司をご馳走してくれました。
まあ貧者へのお布施です。
お布施は受け取らないと失礼に当たります。
それに、武田さんの言葉は、ちょっとムッとしたいところですが、事実といえば事実です。
もっとも、私には高級と言われる食への関心は、まったくと言っていいほどないのです。
むしろ、高価な食事をしていると、なにやら罪の意識が芽生えてしまうのです。
それに、昔からそうですが、グルメと言われる人のおすすめの食事はたいていにおいて、私の口に合わないのです。
たしかにおいしいのですが、それよりも採りたての野菜や魚介類をそのまま簡単な調理で食べるのが、私には最高の贅沢でもあるのです。
とまあ、こんなことを言うと、せっかくのお布施の心を踏みにじることになりますので、あまり言わずに(うっかり少しだけ言ってしまいましたが)出かけました。
連れて行かれたのは、銀座久兵衛です。
有名なお店ですが、残念ながら私はその有名度合さえ知りませんでした。
もっと驚くべきだったのですが、驚かなかったのです。
猫に小判というところでしょうか。困ったものです。
武田さんもご馳走のし甲斐がなかったでしょう。
武田さんのご指名で、平さんという方が握ってくださいました。
平さんは、とてもいい人でした。
それに、とてもおいしかったです。はい。
たまたま武田さんの知り合いのご夫妻が来ていました。
某社の経営者だった人ですが、奥様もよく来られるそうです。
節子には一度もそんなことをさせられませんでした。
穏やかそうに話されているご夫妻を見ると、やはりうらやましさを感じてしまいます。
私たちには、こういう老後はやってきませんでした。
ちなみに、今日は夕食もお布施の夕食です。
2回ほど、ある会でお会いした方なのですが、なぜか私の発言のどこかが心に残ったようで、一度、お話ししたいと連絡があったのです。
ありがたいことですが、お布施に見合うお話ができるかどうか、心配です。
しかし、まあ、いただいたお布施は、いつかまた誰かに恩送りすればいいでしょう。
恩送りできるように、明日からしばらくは、思い切りつつましやかな食事にしようと思います。
台風がひどくならなければいいのですが。
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