■カフェサロン「個人の尊厳と社会の尊厳」の報告
今日のちょっとハードなカフェサロン「個人の尊厳と社会の尊厳」は11人の参加でした。
弁護士の大川真郎さんが、心に残った裁判の話を踏まえながら、まさにテーマにぴったりの話をしてくださいました。
大川さんがなぜ弁護士になったのか、そしてなぜ弁護士会の活動に軸足を移して、司法改革という難事に取り組んだのか、友人でありながら、そういう話をきちんと聞くのも初めてでした。
これまで司法改革に批判的なことを書いてきましたが、大川さんの思いの深さを知って、自らの不明さを恥じました。
加えて、これまで取り組んだ裁判の被告の大変さに言及する時の大川さんの表情は実に印象的でした。
大川さんが詳しく話してくれた4つの裁判に共通するのは、被告の自らの尊厳を懸けた信念と勇気と忍耐であり、それが社会の尊厳を守ったということです。
そういう勇気ある人たちのおかげで、社会、つまり私たちの生活が守られていることを、私たちはもっと認識しなければいけないと、改めて思いました。
大川さんのお話で、心に深く残ったことを3つだけ書いておきます。
裁判では個別の事件しか扱えないが、個別事件の裁判が法や社会を変えていくことがある。
人間は大事にされなければいけない。司法はその守り手ではないのか。
現在は闘いを忘れた時代になっている。それでいいのか。
いずれも具体的な裁判の話に関連させて話してくれました。
大川さんの最近の著書「裁判に尊厳を懸ける」にも語られていることですが、やはり本人から直接聞くと心に沁みこんできます。
私には感動的な3時間でした。
参加者も多彩で、話し合いもいろいろと広がりました。
今回は、医療制度改革に取り組んできた本田宏さんも初参加してくれましたが、大川さんの医療過誤裁判の話に関連して、医療の世界の実態などを話してくれました。
本田さんは「患者さん第一」を理念に活動をされていますが、大川さんの被告視点での姿勢につながるものを感じました。
いろいろと話していくと、やはり制度自体が人間を呪縛しているとともに、司法や医療や法律といった個別の領域を超えた活動の連携が不可欠だというような話になりました。
様々な分野で活動している人たちの、緩やかなカフェサロンはやはり続けようと思いました。
いずれにしろ、大川さんが関わった裁判の被告たちのように、信念と勇気と忍耐をもった「闘い」が必要であり、闘う人たちの連携がもっと広がっていくことが大切です。
大川さんの本にも書かれていますが、19世紀のドイツの法律家イェーリングが言っているように、自己の権利を守ることによって法一般が守られ、法一般が守られることによって自己の権利が守られるのです。
昨今の憲法問題や安保法制、あるいは原発問題にもつながっている話です。
原子力損害賠償法問題などに取り組んでいる本間さんが、最後にそのことに言及してくれました。
参加者からもさまざまな体験紹介や思いの発信がありました。
ご紹介できないのが残念です。
大川さんの話ももっとたくさんの内容があったのですが、ぜひ大川さんの著書「裁判に尊厳を懸ける」を読んでください。
今日の話を聞いて、読み込みが少なかったことを反省して、私ももう一度読み直してみようと思います。
私のホームページにも簡単な紹介記事を書いています。
http://homepage2.nifty.com/CWS/books.htm#150719
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