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2015/10/23

■安保法制騒動を考える9:決定手続きの正当性

今回の安保法制騒動で、私が一番問題だと思ったのは、進め方です。
たとえば、参議院特別委員会での強行採決の様子は、テレビでライブに見ていましたが、驚くべきものでした。
ニュースで断片的に見た人たちは、野党の暴挙と思った人もいるでしょうが、あれは明らかに与党の暴挙です。
その上、議事録までも改ざんし、手続きの正当性を取り繕おうとしていますが、前日の公聴会の報告もなく、慣習になっている最後の質疑もなく、採決時には野党の委員も立ったままの状態でした。

10個の法案を一挙に審議するということも、手続き的に暴挙としか言えません。
しかもそれらは性質の異なるものも含まれています。
これに関しては、「その2」で書きました。

正しい手続きとは何でしょうか。
ここでもマートンの目的の転移が重要です。
正しいかどうかは、かたちでは決まりません。
その目的によって判断しなければいけません。
たとえ100時間「審議」しても、きちんとした審議でなければ、意味がありません。
公聴会を何回開こうが、聴く耳を持っていなければ「公聴会」とは言えません。
国会での審議も、公聴会も、アリバイ工作劇ではないかと思えてなりません。
野党からの質問に誠実にこたえ、一緒になって、より合意できるものにしていく姿勢がなければ、いくら時間をかけても審議とは言えません。
公聴会も、ただ体裁づくりであれば、横浜の地方公聴会で水上弁護士が冒頭釘を刺したように、「公聴会が単なるセレモニーで茶番であるならば、私はあえて申し上げるべき意見を持ち合わせておりません」ということになるでしょう。

手続きの正当性は、目的にかなっているかどうかで決まるはずです。
いや、そうでなければいけません。
茶番劇にしか見えないのは、手続きの目的が、政府見解を正当化するというところに置かれていたからです。
たとえばこうです。
衆議院憲法審査会において、与党推薦者も含めて3人の憲法学者が、安保法案を「憲法違反」だと明言すると、「違憲でないと言う著名な憲法学者もたくさんいる」と言い、確認してたくさんいないことがわかると、「憲法の番人は最高裁判所であって憲法学者ではない」と言い、それを受けて、元最高裁判事たちが違憲と言ったら、彼らは現役ではないという。
まさに茶番劇としか言えない手続きなのです。
重視されているのは、「手続きの正当性」ではなく、「正当化するための手続き」なのです。
国民が賛成しないのは、法案の主旨がきちんと理解されていないからだという姿勢も、ここから出てきています。
そもそも政府には、「話し合おうという姿勢」がないのです。
これは辺野古基地問題でも明確に出ています。

つまり、現政府はもはや「独裁政権」になっているというしかありません。
もはや「民主主義」は消えてしまったというべきでしょう。
ですから、連日の各地でのデモに対して、耳を貸そうなどとしないのは当然なのです。
立憲主義も民主主義も、失われているのです。
そうした実態を、私たちはしっかりと認識しなければいけなのではないかと思います。

これから何が始まるのか。
80年前の日本とドイツの歴史を学ばなければいけません。

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コメント

後れ馳せながらのコメント失礼します❗
偶々、委員会も本会議も実況中継を視ていて、日本の民主主義はやはり実像ではなかったんだと確信しました❗
佐藤さんの一文にあった『臣民根性』の四字熟語が頭から離れません❗💦
市民革命を経験しなかった日本人は欧米的民主主義の洗礼を浴びていないのではないか❗⁉
大戦後は「菊と刀」で類型化され、進駐軍の手先になった人間=『臣民』が日本の政治を牛耳って来たんじゃないんだろうか???
最近、そのように思えてなりません❗
小生と同じく東大経済学部の同期の近現代史研究家が日米開戦は真珠湾ではなく、1853年の蒸気船来襲&威嚇だったと話すのを聴いて、成る程そうだったのかと、得心しました❗
セオドア・ルーズベルトの策定した日本征服計画=オレンジ計画の書物を読書会で読んで、唖然としたものです❗
日露戦争を勝利した日本人の執念に恐怖して
ドイツに発する『黄禍論』を展開、日本人移民排斥を初め 、ハワイ併合、比国奪取等着々と太平洋支配を進めてきたアメリカ❗
TPP大筋合意で中国を追い詰めたと言えるんでしょうか???
『抑止効果』が期待できるのでしょうか???
佐藤さんの論理展開のように精緻なものではないので、お見苦しいと存じますが、やむにやまれずコメントしました❗💦

投稿: 深津孝男 | 2015/10/24 09:27

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