■節子への挽歌2964:知ったものの責任
節子
ずっと読もうと思って読まずにいた『すぐそばにある「貧困」』を読みました。
若い友人の大西連さんが書いた本です。
彼には3か月ほど前に、湯島のサロンに来てもらって、ホームレス問題を話してもらったことがあります。
とてもいい話でした。
大西さんと出会ったのは、自殺のない社会づくりネットワークの活動で、でした。
3回目の公開フォーラムの時に手伝ってもらい、彼にある役割をお願いしました。
彼が誰の紹介で湯島にやってきたのか全く思い出せません。
まだ20代も半ばの、どこかに不思議なものを感じさせる好青年でした。
いまは、法人自立生活サポートセンター・もやいの理事長です。
その大西さんが書いたのが、この本です。
ひと月ほど前に出版されましたが、読みたい本が山積みだったこともあって、まだ読んでいませんでした。
今日、思いついて読みだしました。
しかし、まえがきを読んだだけで、ぐいぐいと引き込まれてしまいました。
読み終えて涙が出ました。
大西さんの活動は、実に感動的です。
ここまでやれる人は、そうはいない。
私など足元にも及びません。
若さの素晴らしさにも感動しました。
大西さんは、先日のサロンに来てくれた時に私にこう言いました。
「いろんなことをやっている佐藤さんって何なのか、よくわからない」と。
たしかにそうでしょう。
私自身、なぜこんな生き方をしているのかわからなくなることがある。
しかし、この本を読んで、大西さんがやっているのと私がやっているのは、活動の次元はともかく、思いはほぼ一緒なのだと思いました。
大西さんと同じく、知ってしまった以上、もう抜けられないのです。
私の場合は、彼ほど深く知ることを避けていますが、それでも見えてきてしまう。
そこで、ついつい深入りしてしまうわけです。
それにしても、大西さんの活動はいさぎよく、誠実です。
本書には、その大西さんの生き方が、生々しく表現されています。
こうやって若者はどんどん育っていくのでしょう。
夕方、京都で認知症予防の活動をしている80代の高林さんからメールが来ました。
ちょっと難題が持ち上がり、会うことにしたのですが、彼女の日程が超過密なのです。
高林さんのメールの最後にこう書いてありました。
月に22日の出張が体力的に限度一杯で、老化を実感しています。
月に22回とは、老体でなくても限度を超えているでしょう。
高林さんもまた、知ってしまったからには抜けられなくなった一人です。
20代の若者と80代の高齢者。
その2人に比べれば、私はかなり誠実さに欠けていますし、怠惰です。
だからいろんな問題に関わってしまう。
しかし、人にはそれぞれ違った役割がある。
まあ大西さんや高林さんのようにはできませんが、私もまあ、それなりに知ってしまった責任を果たすようにしていきたいと思っています。
それにしても、若い大西さんからたくさんのことを学ばせてもらいました。
この本は、みんなに薦めようと思います。
よかったらお読みください。
ポプラ社から出版されています。
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