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2015/11/08

■疑念8:「国家」と「生活者」の「戦争」

安全保障の「安全」は、誰にとっての「安全」なのか。
私の最大の関心はそこにあります。
その点が、世間の常識と違うために、私の議論はなかなか伝わらないのだろうと思っていますが、そのことをどう書けばいいか、自分でもわかりません。
何回も書こうとしながら、うまく書けません。

今朝のNHKテレビの「こころの時代」は、ルポライターの鎌田慧の「ぼくが世の中に学んだこと」でした。
その最後に出てくる、青森県の大間原発建設の用地買収に最後まで応じなかった熊谷あさ子さんの話が出てきます。
その土地は、原発からわずか200メートルしか離れていないところですが、あさ子さんが最後まで土地を売らなかったために、原発は炉心の位置をずらして建設されました。
あさ子さんが、土地を売らなかったのはなぜか。
娘の厚子さんが語ってくれています。
「海、あるべ、この土地あるべ。ぜにっこなくても、一生生きていける。1億円もらっても結局は1銭もなくなるぞ。この土地は絶対手放してはいけない」
厚子さんは、その母の言葉を守って、いまも土地を手放してはいないのです。
そこに、風力発電と太陽光発電で、ログハウスをつくっています。
鎌田さんは、あさ子さんは運動家ではないただのおばさんで、これこそ「生活者の考え」だと話していました。
「国民」ではなく、「生活者」です。
もちろん「消費者」などでもありません。

それを見ていて、まさにそこに「国家」と「生活者」の「戦争」を感じました。
「国民」「消費者」などという言葉の意味を、私たちはきちんと考えなければいけません。
その思考レベルから抜け出さないと、社会の底で行われている「戦争」は見えてこないでしょう。
戦争は、他国との関係ではなく、自国内部の関係に基本があると私は考えています。
自国内部の権力構造を強化するために、対外的な戦争は行われるにすぎないのです。
要するに、「敵は本能寺!」なのです。

「国民」という概念は、明治維新後につくられた概念であり、「消費者」という概念は資本主義経済とともにつくられた概念だろうと思います。
この2つの概念は、私には「戦争」と切り離せないような気がします。
近代国家は、政府に従順な国民を必要とします。
資本主義の成長には、労働力以上に「消費者」が必要です。
「国民」と「消費者」をどうやってつくっていくか。
その効果的な手段が、「戦争」という手段ではないかと思います。
「戦争」を主導する人たちは、決してみずからは戦場には行きません。
これが、現代の「戦争」の実体ではないかと、私は思っています。

いささか舌足らずの、粗雑で過激な内容になってしまいました。
しかし、どうしてみんな「戦争の構図」が見えてこないのだろうかと不思議でならないのです。
私だけが、考え違いしているのでしょうか。

最近、報徳会や無尽講のことを書いた「相互扶助の経済」という本を読みました。
明治時代に、報徳活動による生活者に軸足を置いた経済や国家づくりと政府に軸足を置いた経済や国家づくりの抗争が見えてきます。
地域の生活者たちの汗と知恵は、中央政府に吸い取られ、日露戦争に使われました。
それを拒否して頑張った経済人もいましたが、結局は次第にそうした活動は消えていってしまいました。
生活者の生活を支えていた、海と土地は消えていってしまったのです。

南相馬市で会った、漁師の方が、この海と山があれば豊かな暮らしができていたはずなのに、お金に負けてしまっていた、と嘆いていたのを思い出します。

外国との「熱い戦争」はありませんが、国内での「冷たい戦争」は、広がっています。
国家政府の安全が、私たち生活者の安全を守ってくるとは限りません。
政府の安全と生活者の安全は、まったくと言っていいほど、別のものです。
政府の安全のために、国民が被害を受けることこそに、私は不安を感じています。

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