■カフェサロン「子どもの現在と子どもたちから学ぶこと」
小出陽子さんのカフェサロン「子どもの現在と子どもたちから学ぶこと」はとても刺激的でした。
参加者は14人。湯島サロン初参加の人も3人いました。
まず前半は、小出さんが子どもたちと「どんぐり倶楽部」でやっている、絵を描きながら学ぶワークショップをみんなでやりました。
たとえば、小出さんが「虹色の風船を売っているお店があります」という文章を読み上げ、それをそれぞれが絵にします。その風船は外からは中が見えない箱に入っています」「しかも箱の中には風船が入っていない箱もある」「でも5つ買うと必ず2つの風船が入っている」「では風船を6つ買うには箱をいくつかあったらいいでしょう」というように順々と文章を続け、それぞれの文章で、自分の描いた絵を修正しながら、答えを見つけていくのです。
2つほど体験した後、小出さんが実際に接している子どもたちの話をしてくれました。
小出さんは、最初は英語を教えていたそうですが、英語以前に国語や算数が必要だと感じて、「どんぐり倶楽部」教室を開いたようです。
後半の小出さんのお話もとても考えさせられるものでした。
小出さんは、「学習教室や学校で、子どもたちと学習する中で、たくさんのこどもたちの「わからない」に出会っていると言います。
「赤いものってなんですか?」
「からすって虫ですか?」
100円玉を握りしめながら、「15円がないから買えない」
こうした発言に出会っているそうです。
赤色も、からすも、虫も知っているのに、それが具体的なものに結びつかないのです。
小出さんは、子どもたちの「考えられない」状態も日々目にしているそうです。
子どもたちは「わかろう」とする意欲を持っているのに、学校の先生がそれにうまく対応できないでいるのです。
そして、実際には生活経験が乏しいままたくさんの言語を押し付ける教育にさらされるうちに、次第に子どもたちから思考力が「蒸発」している。
それは果たして子どもたちだけの話なのか。
小出さんは、「大人であるわたしたちも本当にわかっているのか」と問いかけます。
私は、大企業の経営幹部や大学教授などとの付き合いもありますが、子どもたちと同じかもしれないという気がします。
もちろん私自身も、ですが。
こうした話から、コミュニケーションや学力の問題、学ぶことと問うことの関係、私たちの生き方の問題などに話は広がりました。
参加者からこんな算数の問題も出されました(表現は少し変えていますが)。
「りんご3つとみかん2つがあります。全部でいくつでしょうか?」
「一つの大福と一つの大福があります。一緒にしたらいくつでしょう?」
みなさんはどう考えるでしょうか。
サロンでは、このほかにもたくさんの意見や問題が提起されました。
子どもの問題から、私たちの生き方や社会の実相も見えてきます。
次回は1月を予定しています。
どなたか問題提起して下さる方がいたらご連絡ください。
また小出さんのお話は、サロンというよりも、もっと時間をかけたフォーラムのようなものができるといいなと思いました。
どなたか一緒に企画しませんか?
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