■塩野七生さんの「ギリシア人の物語Ⅰ」を読みました
塩野七生さんの「ギリシア人の物語Ⅰ」が出版されました。
「ローマ人の物語」はずっと読ませてもらっていましたが、15巻が出版された後、当然、ギリシアに行くだろうと思っていたのですが、なぜか中世の方の行ってしまいました。
がっかりしていたのですが、ようやくギリシアです。
しかし3巻だと知って、すこしがっかりしました。
今年出版された1巻の主役はテミストクレス。
たぶん、後の2巻は、ペリクレスとアレキサンダーでしょう。
その後の時代のギリシアに関心のある私としては4巻ものにしてほしいものですが。
まあそれはそれとして、1巻目はとても面白く、ローマ人の物語の時のように一気に読んでしまいました。
いろいろと考えさせられることがありましたが、今日は印象に残った3つのことだけを羅列しておきます。
一つ目はちょっと長いですが、改革を起こす人の話です。
改革は、既得権階級のもつ欠陥に斬りこまないことには達成できない。斬りこむには、欠陥を知りつくす、と言うか肌で知っている者のほうが有利にきまっている。どこに、どう斬りこめば成功するかを、ローマ人の言葉を使えば、「食卓の話題」で自然に会得してきたからである。この種の「蓄積」は、いかに優秀な新興階級の出身者でも、一朝一夕には得られるたぐいのものではなかった。他には適当な教育機関が存在しなかった時代、それを教えこむのは家庭しかなかったのである。
2つ目は、アテネの民主主義の実態に関するものです。
直接民主政下のアテネで国の政策を決めていたのは、有権者総数の10%前後、ということになってしまう。
最後は、新しい文化の誕生に関することです。
時代を画するほどの文化文明は、異分子との接触による刺激がないところには生れない。自国内での温室栽培では、他民族にまで影響力をもつ画期的な文化も文明も生れないのである。
いずれもそれぞれ、現代のさまざまな問題を考える上での示唆に富んでいます。
それについては、それぞれに関して別途書いていければと思っています。
今日は予告編にとどまります。
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