■カフェサロン「学童保育から見える子どもの世界」の報告
今日のコムケアサロンは、学童保育に長年かかわっている上野陽子さん(日本子どもNPOセンター)に話題提供してもらいました。
学童保育についてほとんど知らない人も含めて、10人の人が集まりました。
上野さんから、学童保育はどんな場所なのか、そこで今どういうことが起こっているのか、そこに関わるものとしてどんな悩みを抱えているのかを、話してもらった後、いつものように自由な話になりました。
上野さんは、これまでの活動からていねいなレジメをつくってくださっていますので、もしご関心のある方がいたら、ご連絡ください。
上野さんの了解が得られたらお届けいたします。
話を聴いていると、まさに大人の世界と同じようなことが展開されているように思いました。
と同時に、学童保育もだんだん窮屈になってきているのだなとも思いました。
そして、学童保育の世界もどんどん「市場化」が進んでいるようです。
そのため、子どもの都合よりも、大人たちの都合が、支配しているのかもしれません。
「福祉」の世界の大きな潮流と同じです。
そこでは「保育」とは何か、といった大きな目的は忘れられがちです。
上野さんは、そうしたなかで、たぶん子どもたちと正面から付き合い、両親には見えない子どもの姿を両親に伝えようとしているのでしょう。
だから、悩みが山のように出てくるわけです。
たとえば、上野さんはこんな悩みを話してくれました。
・子ども目線ってなんだろうか。
・どうしたら、一人の「人」として、子どもと関わることができるのか。
・モノ(景品)をもらえる行事が多いのではないか。
・学童保育の世界で子どもたちを大切にすることが、学童保育の外での子どもたちの生活を危うくすることはないのか。
・日常からつながるイベントをつくりたい。
・保護者や地域や社会に、何をどう発信していけばいいのか。
私が面白かったのは、最近はボール遊びができなくなっている公園が多いそうですが、学童保育の場合はルールを破ることができないのに、学童保育以外の子どもたちはボール遊びをやっている(もちろんルール違反)という話でした。
不都合なルールは変えればいいだけの話ですが、ルールが一度できてしまうと、なぜかみんなそれに従わないといけないと思う社会になってしまったようです。
それに関連して、子どもたちがちょっと工夫してルールを変えてゲームをしていると、「このゲームはこうやって遊ぶんだよ」と注意する子どもがいるそうです。
こうして「ルール重視」になっていくと、大きなルールが壊れて、学級崩壊や学校への不適合が起こるのかもしれません。
母親と子供の関係も話題になりました。
母親にとって、子どもは自らの存在証明なのかもしれません。
2人の母親の、少し違いのあるご意見には興味を感じました。
これはいつかまたテーマにしたいと思います。
ほかにもたくさん考えさせられることがありました。
所詮は、子どもたちの都合ではなく、大人たちの都合が優先されていると最後に誰かが言っていましたが、私もまったく同感です。
学童保育を否定しているわけではありません。
しかし、かつて保育所が「託児所」と言われたようなことを繰り返してほしくはありません。
学童保育を利用している人は、家族や本人が、どこかで学童保育の運営にも参画する仕組みが必要だろうと思います。
小学生の子どもでも、スタッフとしてやれることはたくさんあるはずですし、それが無理なら10年後にお返しする仕組みも考えられます。
市場化とは違う展開があるのになあ、と思いながら、私は話を聞かせてもらっていました。
主観的な中途半端な報告ですみません。
まあ、いつものことですが。
社会に向けて「学童保育」の現場からの声を発信していく場を、日本子どもNPOセンターで検討してほしいと思いました。
みんなあまりにも知らないのです。
みなさん、もっと子ども世界に関心を持ちましょう。
子どもが豊かに育たなければ、社会が豊かになるはずがありません。
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