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2016/03/14

■カフェサロン「スワンベーカリーの目指していること」の報告

今回は、2年ほど前に、スワンベーカリーを経営している株式会社スワンの社長になった岡村さんが話題提供をしてくださいました。
予想を超えて、17人もの参加になり、いささかあわててしまいました。
しかし、スワンベーカリーへの関心がこれほど大きいことはうれしいことです。

スワンベーカリーは、「障がいのある人もない人も、共に働き、共に生きていく社会の実現」というノーマライゼーション理念のもとに、障がい者の経済的自立支援を目的に、『クロネコヤマトの宅急便』の生みの親の小倉昌男さんが始めた、パン製造販売を行うフランチャイズチェーンです。軽食も提供する喫茶店も展開しています。

岡村さんは、ヤマト運輸で長年バリバリのビジネスマンとして働いてきました。
私が出会った当初は、まさに同社の戦略参謀スタッフでした。
それが思いもしなかったスワンの社長を引き受けることになったのです。
岡村さんは、まずその時の思いを、とても素直に話してくださいました。
それまでは他人事だったスワンの世界が、入ってみるととても生き生きした世界で、経営に関する考え方も、企業そのものの捉え方も、(たぶん自らの人生観も)変わってきたようです。
岡村さんが語るスワンのお話には、あたたかさを感じましたが、話したいことが山のようにあるようで、次から次へと話が飛び出してきました。
それだけ岡村さんは、この2年間、充実した時間を過ごしてきているのでしょう。
それだけで、私はスワンという会社の素晴らしさを感じました。

お話の内容を中途半端に紹介するのはやめますが、岡村さんが話してくれた4人のスワンの社員(岡村さんは「スワンの仲間」と表現しました)の話はとても示唆に富んでいると思いました。
障がいがあるために働く場が得にくい人たちにとって、いま何が一番大切なのかが、そこに表れていますし、障がいとは関係なく、そこにいまの時代の働き方や働く場の問題と解決のヒントが象徴されているように思いました。

話し合いではさまざまな話題がでましたが、私の勝手な感想を述べれば、やはり私たちはまだ金銭経済や工業経済の発想から抜け出せていないということです。
スワンで働くことで、授産施設などに比べると10倍ほどの給与を得ることができ、障害者手当を含めれば、経済的には生活が自立できるかもしれません。
しかし、スワンの意味はそれだけなのだろうか。
それにまだ、そうした人はとても少ないでしょう。
企業の障害者法定雇用率をもっと高めるべきではないかという話も出ました。
障がいの子どもを持つ親にとっては、自分の死後、子どもが働けなくなった後のことも心配ではないかという話が出ました。
障がいを持つ子どもの母親からも、なかなか雇用してもらえないという悩みも出ました。

もちろんいずれも大事なことです。
しかし、私には、そもそもそういう発想を問い質すべきではないかと思っています。
そういう発想が、いまの生きづらい社会をつくりだしてきたのではないか。
スワンで働いている人たちにとって、一番の喜びはなんなのか、をしっかりと考えてみたいと思います。

そして、実は「障がいをもつ人たち」の働き方を考えることは、働き方そのものを考え直すきっかけになるのではないかと思います。
障がい者雇用を進めているアイエスエフネットの社長の渡邉幸義さんは「障がい者が入社してくれたおかげで社員みんながやさしくなった」と言っています。
だとしたら、障がい者(高齢者や認知症の人も含めたいです)がいるだけで社会はやさしくなるのではないか。

ちょっとテーマは違いますが、スワンベーカリーのお店による味の違いの話も出ました。
スワンベーカリーは、いまは全国に29店舗(直営店は4つ)展開しています。
そのため、お店(地域)によって味も少し違うようで、それをそろえてほしいという声が出ました。
これもとても重要な問題だと思います。
私はスワンベーカリーにはマグドナルドのような均一の味になってほしくはありません。
と同時に、むしろ地域の人たちも一緒になって、スワンベーカリーのお店を良くしていくという関係が生まれていけばいいなと思っています。
ここにも、いまの社会のあり方や私たちの消費活動のあり方を考える重要な視点があります。

岡村さんは、本社時代に社風刷新に取り組みましたが、その時、「社風は勝手には悪くならない、(もし悪くなるとしたら)そこにいる人が悪くしている」と考えたそうです。
そして、経営には人柄が出ると言います。
とても共感できます。
「社風」を「社会」に替えても成り立つでしょう。

岡村さんはまた、障がいを持つ人の働き場づくりだけではなく、「生きにくさ」の解決にも取り組みたいと話しました。
スワンで得た気づきやノウハウが、いつか日本の会社や社会を変えていく動きにつながっていくと私は信じています。

岡村さんは、参加者のためにスワンのマドレーヌを持ってきてくれました。
お話をしてもらうのに、逆にお土産まで持ってきてもらう、これが湯島のみんなが育てるサロンの特徴の一つです。
何とか頑張って、この場をつづけていこうと改めて思いました。
岡村さん、ご多用のなか、ほんとうにありがとうございました。

私も、岡村さんと同じく、書きたいことが山のようにあって、長くなってしまいました。
すみません。


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