■「保育園落ちた日本死ね」の憂鬱
最近、すごく憂鬱で、時評を書く気が出てきません。
ニュースもあまり見なくなりました。
どうしてだろうと我ながら不思議に思っていました。
今日、その理由がわかったような気がしました。
「刑事フォイル」というテレビドラマがあります。
http://www9.nhk.or.jp/kaigai/foyle/
イギリスのテレビドラマで、原題は「フォイルの戦争」です。
第二次世界大戦中のイギリスが舞台のドラマです。
最初からずっと見ていますが、いつも、もの哀しいあたたかさを感じます。
昨日の日曜日に放映されたのは「生物兵器」の後篇です。
フィールディングという老警視正が友人でもある同僚のフォイルに、この仕事をもう辞めようと思うと言う場面があります。
彼は、こう言うのです。
そこらじゅう、悪意と憎しみばかりだ。なんでもないセリフですが、なぜか涙が出ました。
人間性なんてあてにならない。
どこか夕陽がきれいな場所で、静かに暮らしたい。
君は闘ってくれ。
おれはもういい。
そしてハッと気づきました。
「保育園落ちた日本死ね」という言葉を聞いた時の、私の思いだったと。
非難されそうですが、この言葉は私にはとても不快な言葉でした。
しかし、その悪意と憎しみに満ちた、嘔吐を感ずるほど嫌な言葉が、なぜか多くの人の共感を得て、大きな動きを起こしてきています。
私には、それがとてもやりきれないのです。
国会にデモしている女性たちの気持がわからないわけではありませんが、敬意も拍手も送る気にはなれません。
これについては、前にも一度書きましたが、わたしたちはすでにもう日本を殺しているのではないかとさえ思うのです。
悪意と憎しみからは、たぶん何も生まれないでしょう。
そしてさらに思うのは、日本はもうフォイルの時代、つまり戦争に向かっている時代になってしまったのではないかと。
できれば、私も、フォイルのように闘いつづけたいとは思っています。
しかし、誰かに期待して生きるような生き方はしたくはありませんし、だれかに「死ね」とは言いたくありません。
でもいまの日本では、「保育園落ちた日本死ね」という生き方が多くの人の支持を得る社会のようです。
「保育園」にはいろいろな言葉が当てはまります。
そう思うと、とても嫌な気分に覆われてしまいます。
そういう親に育てられた子供はどんな社会を創りだしていくのでしょうか。
とても哀しくさびしいです。
こんなことを書くと、また「今の保育行政でいいのか」とか「子育ての大変さがわからないのか」とかという、私には思ってもいない非難を浴びそうです。
これまでもいつも私の言いたいこととは違うところでコメントをもらうことが多いので、今回もそういう批判をたくさんいただくでしょう。
しかし、私が悲しいのは、保育行政とかそんなことではなくて、社会に悪意と憎しみ、怒りが充満していることなのです。
そこがわかってもらえるとうれしいです。
この文章そのものにも「悪意と憎しみ」があるではないかと言われるかもしれません。
もしそうだとしたら、私自身も「悪意と憎しみの満ちた社会」に染まっているのかもしれません。
だとしたら、フィールディング老警視正のように、夕陽のきれいな場所で静かに暮らす道を選ぶべきかもしれません。
自らを正せなくて、社会を正せるはずがないからです。
そんなわけで、この2週間、時評をあまり書けずにいました。
でもやはり、めげずに時評を書きだそうと思います。
私はフィールディングよりフォイルの生き方に共感をもつからです。
どんなに憂鬱でも、納得できる生き方を捨てたくはありません。
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投稿: Jin | 2016/03/23 15:19