■節子への挽歌3142:「抜け出す」楽しさ
節子
昨日、箱根で挽歌を書いた後、思ってもいなかったことが起こりました。
箱根では企業の人たちとの報告書づくりの合宿でした。
私は、そのアドバイザー役で一つのチームを担当していました。
これまでもそうですが、ホテルに缶詰めになって議論し合うスタイルには、どうもなじめません。
ですから、いつも、途中で帰りたくなるのです。
今回は、最後なのでわがままを言わずにいたのですが、天気がよくなったので、ホテルをこっそり出て、大涌谷にでも行ったほうが気分転換でいいのではないかと、担当チームに提案しました。
以前も時々提案していましたが、採用されたことはありません。
それは冗談なのだろうと思われてしまうのでしょう。
なにしろ私はアドバイザーですから、もっと真剣に話し合うことを勧めるべきだと思う人が多いのでしょう。
しかし、より成果を上げるためにこそ、ホテルを抜け出して、遊びに行くのがいいというのが、私の本心なのです。
もちろん事務局にも何回も提案しましたが、採用されません。
サウスウエスト航空の事例はみんな知っているはずですが、リスクをとりたくない官僚的な人は、それを「冗談」だとしか思えないのです。
まあそんなこともあって、この仕事から今回身を引くことにしたのですが、最後まで私の思いは実現しなかったなと諦めていました。
なにしろ今回も「おとなしくしているよう」やんわりと注意されていたからです。
ところが奇跡が起こったのです。
私の話に、私の担当チームが乗ってくれたのです。
記録のために名前を残しておきたいですが、山口さんのおかげです。
昼食時に、偶然彼が私の前に座ったのが、幸運でした。
そして昼食後、山口さんの呼びかけで全員でこっそり会場を抜け出し、大涌谷と箱根神社まで出かけてしまったのです。
私には最高の贈り物になりました。
ちなみに、大涌谷は噴火の危険性のため道路封鎖でいけませんでしたが。
私は、「抜け出す」ことが大好きです。
思えば、会社に入社した時に。新入社員教育がありましたが、そこからも抜け出して、海に泳ぎに行ったこともあります。
それが最初の「抜け出し」体験でした。
私は誘われたのですが、誘ってくれたのは、私よりもかなり年上の大学院博士課程卒業の岡田さんというドクターでした。
彼にとっては、新入社員教育は私以上に退屈だったのでしょう。
彼と2人で会場を抜け出してしまったのです。
その年、入社した社員は200人ほどでしたから、2人ほど抜けてもわからなかったのです。
しかも電車に乗ってまで海水浴場に行ったのですから、まあ見つかったら大変だったでしょう。
その帰りに電車の中で、岡田ドクターから「エントロピー」の話を教えてもらいました。
その話は、私のその後に大きな影響を与えました。
2週間ほどの新入社員教育は全く記憶にはありませんし、たぶん役には立たなかったでしょうが、電車の中でのエントロピー講座(電車の窓ガラスに図を書いて教えてくれました)は役に立ったわけです。
しかし、それ以上に役立ったのは、「抜け出すことの大切さ」です。
そしてまた、抜け出すことの楽しさです。
そんなわけで、最後の箱根合宿は楽しいものになりました。
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