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2016/04/22

■見える困窮と見えない困窮

熊本や大分の地震被災地に対して、各地の自治体が職員を支援活動に派遣し始めています。
派遣している自治体の職員のフェイスブックを見ていたら、こんなコメントが書かれていました。
「自分も現地支援したい気持ちでいっぱい。いてもたってもいられない心境。」
よく知っている人なので、そうだろうなと心から思います。
被災地への職員派遣もとてもいいことだと思いますし、自分も何かしたいと思う職員の気持ちもよくわかります。
それは別に職員だけではなく、多くの人たちが、「自分に何かできることはないだろうか」と思っているはずですから。
そうした動きや風潮に、異論があるわけでは、まったくありません。
それを前提としての、ちょっとした感想です。

今回のような被災事故が起こると、みんな「何かをしたい」と思います。
しかし、被災事故が起こらなくても、生きるのに困っている人は少なくありません。
とくに自治体職員にとっては、被災事故の有無にかかわらず、たくさんの問題が地元地域には山積されているのではないかと思います。
それが証拠に、いまもって貧困のために命を絶つ人や精神的にダウンする人が少なくないという事実があります。
生活保障さえ、なかなか受給できない人もいますし、働く場もなく自らの身を売らなければいけない人も、いないとは限りません。
居場所のない高齢者や生きる上での障がいを持つ人も少なくないでしょう。
そうした「日常的な困窮」が、なかなか見えなくなっているのが現代かもしれません。
いや、みんな、あえて見ないようにしているのかもしれないとさえ思うこともあります。

今回のような大きな災害があると、それが見えてきます。
災害によって新たに生まれた「困窮」は多いでしょうが、なかには災害によって見えなかった「困窮」が見えてくることもあるでしょう。
災害は、社会のさまざまな問題を可視化してくれるのです。
しかし、災害があろうとなかろうと、実は「困窮」はあるのです。
自治体職員のみなさんは、本気でそうした「困窮」や「問題」を見ようとしているのか?
地域住民たちは、本気でそうした「困窮」や「問題」を見ようとしているのか?
災害で見えるようになったことに対して「いてもたってもいられない心境」になる前に、普段からもっと心がけるべきことがあるのではないのか。
そんな気がするのです。
もちろん私自身の自戒をこめてです。

災害によって顕在化するのは、「困窮」だけではありません。
「善意」もまた顕在化します。
いわゆる「災害ユートピア」の出現です。
http://homepage2.nifty.com/CWS/blog6.htm#yu
みんなの「日常的な善意」もまた、普段抑圧されていることがよくわかります。
しかし、残念ながら、「災害ユートピア」は次第に消えていきます。
これもまた現代社会の特質だろうと思います。
しかし、災害がなくても、「ユートピア」はつくれるのではないか。
少なくとも、そういうことを目指した生き方をすることなら、誰にもできるのではないか。
私は、そう思いながら、そういう生き方を心がけています。
これもまた自治体職員にとっても、普段から取り組める仕事です。

大きな災害が起きなくても、「いてもたってもいられない心境」になるような問題は、普段から私たちのまわりにはたくさんあります。
日常的な生き方を少し変えるだけで、そういう問題が見えてくる。
ボランティア活動などと言わなくても、日常的な生き方のなかで、誠実に取り組めることがたくさんある。
みんなの目が被災地に向く足元で、被災者以上に困窮のただなかにある人たちがいることが、私にはとても気になるのです。

被災者に目を向けることを否定しているわけではありません。
しかし、日常的にも支援を求めている人がいることを忘れないでほしいと思うのです。
被災地へのまなざしの一部を、みずからの周辺にも向けていきたいと思います。

今回の記事を書くのは、ちょっと勇気が必要でした。

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