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2016/09/13

■豊洲市場の盛り土不正問題に思うこと

築地からの移転が予定されている豊洲市場での、土壌汚染対策の盛り土が主要建物下で行われていなかった問題が大きな話題になっています。
その後の報道を見ていると、どうも建物下だけの問題ではなく、盛り土そのものの進め方にも問題がありそうです。
少なくとも、都庁は嘘をついていたことが明白になってきました。
堤未果さんの「政府は必ず嘘をつく」(角川新書)を読んだ方もいるでしょうが、中央政府だけではなく、地方政府も、嘘を平気でついてきました。
そうしたことを国民や自治体住民が、つまり私たちが、受け入れてきたからです。

この事件の報道を見ていて、戦後の1946年に書かれた、映画監督の伊丹万作さんの言葉を思い出します。

「さて、多くの人が、今度の戦争でだまされていたという。みながみなロを揃えてだまされていたという。私の知っている範囲ではおれがだましたのだといった人間はまだ一人もいない。ここらあたりから、もうぼつぼつわからなくなってくる。多くの人はだましたものとだまされたものとの区別は、はっきりしていると思っているようであるが、それが実は錯覚らしいのである。たとえば、民間のものは軍や官にだまされたと思っているが、軍や官の中へはいればみな上のほうをさして、上からだまされたというだろう。上のほうへ行けば、さらにもっと上のほうからだまされたというにきまっている。すると、最後にはたった一人か二人の人間が残る勘定になるが、いくら何でも、わずか1人や2人の智慧で1億の人間がだませるわけのものではない」(「戦争責任者の問題」)
豊洲市場の盛り土問題の報道を聞いていて、ほんとうに不思議に思います。
都議会の議員が騒いでいますが、なぜこれまで調べようとしなかったのか。
築地移転推進派の組織の会長が、だまされたと怒っていますが、なんでこれまで本現場を見ていなかったのか。
マスコミも、これまで豊洲の現場を見に行ったことはないのか。

もちろんみんな「悪意」があったわけではなく、本当に知らなかったのでしょう。
今回、問題にしだした共産党の都議たちの努力も評価しますし、市場関係者の怒りも理解できます。
詳しく報道しているマスコミ関係者も、いまは誠実に報道していると思います。
でもどこかおかしくはないでしょうか。
あれほど問題になっていた安全問題対策が、実際にどう進められているかを、だれもきちんと追いかけていなかったということには驚きを感じます。
安全問題に関する技術委員会の人たちが、誰も現場に行っていないで、工事完了を承認したというのも驚きです。
つまり、みんな現場を見ずに書類だけの資料で活動しているということです。
それなのに、いまになって、だまされたというのはおかしいのでないかと思うのです。
現場を見ずに、どうして安全性など議論できるのか。

一番の驚きは築地の市場関係者です。
現場も確認せずに、都庁の説明を鵜呑みにしているということは、要は本気で安全を考えていないと言うしかありません。
やはり経済性だけに関心がいっていたのではないかと思ってしまいます。
魚屋をなめるなよと、推進派の会長は怒っていましたが、現場も確認しないような魚屋はなめられても仕方がありません。
そうした人が、安全性など考えられるわけもないでしょう。
こんな会長を持っている組織は、そもそも御用組織でしかない。
こういう人たちによって、社会は壊されていくのでしょう。

いささか過激に書いたかもしれませんが、今回の事件は、政府は嘘をつくことの明白な事例です。
お上は正しいという考えを、私たちはそろそろ問い直さなければいけません。
都庁でさえこうなのですから、中央政府の嘘はもっと壮大でしょう。

伊丹万作はこうも書いています。

あんなにも造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになってしまっていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである。
(中略)「だまされていた」といって平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによってだまされ始めているにちがいないのである。」

ちなみに、もう10年ほど前になりますが、「騙された者の罪」をブログで書きました。
http://cws-osamu.cocolog-nifty.com/cws_private/2007/04/post_4ec6.html

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