■国家が争い合うグローバリゼーション
昨日の読売新聞に、「奈良の都にペルシア人役人がいた」という記事がありました。
それによると、奈良の平城宮跡から出土した8世紀中頃の木簡に、ペルシャ(現代のイラン付近)を意味する「破斯」という名字を持つ役人の名前が書かれていたのだそうです。
当時、日本は今以上に国際色豊かで、ペルシア人もいたことは、これまでも言われていましたが、木簡で確認されたのは初めてだそうです。
私たちは、進歩主義、つまり時代とともに、文化は進歩し、いまがその頂点にあると考えがちです。
たとえば、グローバリゼーションや人間の活動範囲に関しても、そう思いがちです。
しかし、そんなことはありません。
いま、国会で、議員の二重国籍が問題になっていますが、奈良時代には役人の中にペルシア人がいたのです。
そもそも聖徳太子が突厥人だったという論もありますし、天武天皇も渡来人だったという説もあります。
いずれもかなり説得力ある論拠が提示されています。
私たちが知っている歴史は、時代に合わせて作られたものでしかありません。
そして、その時代の人は、いまが一番進歩の頂点にあると思いたがりますから、歴史書はほとんど前の時代よりも今の時代がいいということになりがちです。
しかし、歴史は必ずしも進歩しないことは言うまでもありません。
たぶん奈良時代以前の日本列島には、さまざまな民族の人たちが住んでいたのでしょう。
文化も多様だったはずです。
グローバリゼーションとは、国家の枠を超えると言う意味が含まれています。
インターナショナルとは違うのです。
世界の構成原理が変わるということではないかと思います。
だから逆に、ナショナリズムへの逃避も強まるわけです。
グローバリゼーションの時代には、むしろ多くの人が、さまざまな国籍をもって、国家の枠にこだわらない発想をしてほしいという思いがしますが、これは私の思い違いでしょうか。
国家が争い合うグローバリゼーションって、いったい何のか、私にはよく理解できません。
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