■節子への挽歌3343:眼瞼下垂
節子
また入院が決まりました。
今度は眼瞼の形成外科手術です。
眼瞼下垂は瞼が下がってくるという症状ですが、実はこの症状は15年ほど前から出てきています。
そのため私の眼は、鼻の孔よりも小さくなっています。
節子はいつもそれを笑っていましたが、まあそれもいいかと思い、手術はしないでいました。
眼瞼下垂のために、私の視野は普通の人に比べると、とても狭くて暗いのです。
つまり、世界があまり良く見えていないわけです。
その結果、いささか不便を感ずることもありますが、慣れてしまえば、世界はこんなものだと思うようになります。
世界を見る目が曇ってくるのではないかと思われるかもしれません。
たしかに、時々、まぶたを手で押し上げると、世界ははっきりと輝くように見えるのです。
つまり、いつもは、薄暗い世界で暮らしているわけです。
私の性格が悪いくて暗いのは、そのせいかもしれません。
しかし、人間は不足するところがあれば、必ずそれを補う機能が発達します。
物理的な視力や視野が狭い結果、物理的には見えない世界が見えだす、つまり「心眼」が育ってくるのです。
だから私には、世界の裏までが、そして未来までが見えているのです。
と、言いたいところですが、そんなことはまったくありません。
ただただうっとうしいだけです。
最近は、本を読むのさえ努力が必要です。
以前に比べて読書速度が遅くなり、読書量が激減したのは、たぶんそのせいです。
最近は読者が時に苦痛になってきました。」
それでついに眼科医に行ったわけです。
先日いった眼科の小川さんが、松久さんという名医を紹介してもらいました。
松久さんが、私の眼を見て言いました。
右目は頑張っていますね、と。
過剰な負担をかけていたようです。
申し訳ないことをしました。
私の眼は、私のものではないのですから、目の立場も考えなければいけません。
手術は2か月先しか時間がとれず、年末になりました。
4日間の入院だそうです。
さてもう2カ月、この眼で頑張らないといけません。
ところで、松久さんが言いました。
この手術をすると顔の印象が変わります。
それで違和感を持つ人も多いのです。
ですからこの手術をする医師は少ないのですよ。
さてさてどんな顔になるのでしょうか。
これも初体験ですので、とてもワクワクします。
性格も変わるかもしれません。
いや、人格も。
来年の私が楽しみです。
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