■普通に考えておかしいことはおかしいのです
豊洲の騒動はますます混迷している気がしますが、今日のテレビで、市場関係者のみなさんが説明会で怒りの声をあげているのを見ました。
私はこの問題で、一番反省すべきは、市場関係者と専門家会議の委員だと思っています。
私は自宅を建てる土地を探している時に、その土地のことをきちんと調べました。
納得できない時には、価格が安くても、魅力的でも、無条件で対象から外しました。
自分が住む家は、安心できる土地の上に建てたいと思っていたからです。
そこが、汚染された土壌の土地だったら、どんなに安くても、わが家を建てる気にはならなかったでしょう。
また家を建てている時には、何回か現場を見に行きました。
設計図はもちろん見ていましたが、実際に現場に行って気づいたことは少なくありません。
市場は自宅ではないとしても、市場関係者のみなさんは、そこでずっと仕事をする場です。
ましてや、食品を扱う場です。
そういう人たちが、なぜ汚染された土壌の上に転居することを認めたのかが全く理解できません。
普通に考えれば、あり得ない話だと思います。
市場関係者のみなさんは自分の家を建てる時にも、そうしているのでしょうか。
豊洲の土壌がどういう土地だったかは、最初からわかっていたことです。
だから最初はみんな反対していたのでしょう。
でもいつの間にか変わってしまった。
私には、食品を扱う仕事をしている人としての責任感がないとしか思えません。
都庁が悪いのではなく、悪いのは市場関係者の組合のリーダーでしょう。
その汚染された土壌も盛り土をしたら安全だなどという専門家がいることも信じがたいことです。
本当に、安全だと思っていたのでしょうか。
いまも、盛り土すれば安全だと言っているようにも聞こえますが、あまりに不誠実ではないかと思います。
長年にわたって深く汚染された土壌は、そんなに簡単には除染されません。
事実、たった数年で、いろんな有毒物が地上に出てきています。
それは盛り土していなかったからと言えるのでしょうか。
盛り土していたら大丈夫なのでしょうか。
普通に考えれば、そんなはずはありません。
専門委員のみなさんは、そこにわが家を建てる気になるでしょうか。
もし、そうでないとしたら、技術者としての責任感がないとしか思えません。
いや、技術者としても、あまりにお粗末です。
この構図はよく見かける構図です。
たとえば、原発に関しても同じ構図を感じます。
専門家と受入側の土地の責任者である権力者とで、安全問題は処理されます。
そして問題が発生すると、実際に現場で汗している人たちがとがめられます。
そこで働いたり住んでいる人たちが、被害をこうむるわけです。
こうした構造から、抜け出るにはどうしたらいいか。
権力者や専門家に任せておくのをやめなければいけません。
そこに生活している人たちが、自分たちで考えていかねばいけません。
専門家のように各論で考えるのではなく、もっと知性を持って考えなければいけません。
最高の知恵と知性は、誠実に生きている現場の人にあります。
「お上」にはないのです。
専門家は、現場の現実から、知恵を学んでいるのですから。
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