■カジノ法を成立させたギャンブラーたち
先週、目の手術で入院していました。
総合病院だったので、いろんな人が入院していました。
自分で食事のできない人も、さわいで看護師をてこずらせる人もいました。
改めて社会の実相を考える、いろんな刺激をもらいました。
私の隣のベッドは、糖尿病の人でした。
屋外の警備員をしている68歳の男性ですが、一人住まいです。
海外に近いビル街での警備活動をしていて、体調がおかしくなり、病院に来たらすぐ入院。もう少し遅ければ人工透析になった恐れもあったそうです。
真面目に毎日働いて、月収は12万円。
唯一の楽しみは競馬と競輪だったそうですが、最近は収入が少なくそれもなかなかできないそうです。
それに、最近の競馬は、お金持ちたちが儲けられる仕組みができあがってしまい、情報不足の個人では、なかなか当てられなくなってしまったと嘆いていました。
それはともかく、その人は一時期かなりの生活をしていたようですが、いまは月収12万円で、入院費も仲間が支援してくれるのを待っている状況です。
私が入院中に若者が見舞いに来ていました。
その一人が、今度の競馬の予想を「あんちゃん」に聞きたくてと話していましたが、彼は、競馬を薦めないばかりか、パチンコもやめた方がいいと諭していました。
見舞客が返った後、私と競馬の話になりました。
今の競馬界への彼の怒りをだいぶ聞かされました。
競馬をまったく知らない私にも理解できる内容でした。
現場の人の話は、分かりやすくて説得力があります。
最後に彼は吐き出すように言いました。
ギャンブルは、勝っても負けても抜け出せなくなる。
そして生活を壊していく。
政府がカジノ法をつくって、ギャンブルをさらに広げようとしているのは許せない。
そういえば、彼は見舞客の若者にも、ゲームセンターの怖さも婉曲的に話していました。
退院してから、カジノ合法化を目指す「カジノ解禁法」が強行採決されてしまったことを知りました。
カジノやギャンブルが寄与する経済成長の意味など、彼らはまったく解することはないでしょう。
そこまでの知性は望まないとしても、わが入院仲間のような真面目に生きている人の声をもし聞いていたら、少しは考え直す気になったかもしれません。
カジノ法に意味があるような話をしている人をみるたびに、その糖尿病患者の顔を思い出します。
国会議員や「有識者」にも、彼ほどの「知性」を持ってほしいです。
国会議員は、今やカジノのギャンブラーのような生き方をしていますので、さほどカジノへの危機を感じないのかもしれませんが、ギャンブルの意味をもっと誠実に考えてみてほしいものです。
昨日、古い西部劇の「帰らざる河」を見ました。
アメリカは、どこで道を間違えてしまったのでしょうか。
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