« ■節子への挽歌3414:すぐに忘れることの良さ | トップページ | ■節子への挽歌3415:人生の選択肢はたくさんある »

2017/01/09

■虚構と真実

今朝の朝日新聞で知ったことです。
2004年からネットで「虚構新聞」を発行している人がいます。
その人によれば、最近は政治的なネタはやりにくくなったそうです。
「かつてなら冗談とわかって笑ってくれた。でも今は、いかにもありそうなウソの見分けがつかず、真に受ける人が多いんです」と言う、その人の言葉が紹介されていました。
たしかに、嘘のような本当の話や、本当のような嘘の話が、まかり通る時代になってしまいました。

オックスフォード英語辞書は毎年、「今年の言葉」を発表していますが、2016年世界の今年の言葉は「post-truth(ポスト真実)」だったそうです。
オックスフォード辞書のキャスパー・グラスウォールさんは、「ポスト真実」は「我々の時代を最もよく表す言葉のひとつ」になるかもしれないと選考理由を説明したそうです。
ちなみに、「post-truth」という表現が最初に使われたのは1992年だったそうです。

最近、世界で話題になっている「サピエンス全史」という本があります。
あまりの厚さに、私はまだ読む気にはなっていませんが、その本のキーワードは「詐欺」や「虚構」だそうです。
たとえば、農業革命は史上最大の詐欺。
そして、貨幣、国、宗教は虚構。

リチャード・ヴェルナーの「虚構の終焉」の表紙には、「フィクション・エコノミクス」という言葉が併記されています。
貨幣という虚構に基づいて、いまの経済は構築されているというのが同書のメッセージです。
それをベースに、その虚構の部分をていねいに解説されたのが天野統康さんの「〔詐欺〕経済学原論」です。
経済には、金銭経済と生活経済のふたつがありますが、それらは全く次元の違う話であることが、この2冊を読めばわかってきます。
ちなみに、私の経済の捉え方は、後者に基盤を置いているので、なかなかわかかってもらえません。

「サピエンス全史」の農業革命は史上最大の詐欺というメッセージは、視点を変えるということを示唆しています。
私は読んではいませんが、農業革命によって、「人類が小麦に家畜化されている」と書かれているようです。
主客を反転させると、見えなかったことがよく見えてきます。

虚構が悪いわけではありません。
「サピエンス全史」の著者は、インタビューでこう発言しています。
「虚構は重要で、価値があるものだと思います。なければ社会は成り立たない」。
しかし、その一方で、こうも語っています。
「文明が発達するほど、我々は不幸になっていく。なぜならその文明は「虚構」の上にもたらされたからだ」。
文明は私たちに利便性を与えてくれていますが、その裏で、不幸も与えているのかもしれません。

「ポスト真実」の時代には、虚構と真実を見分けるのが難しい。
というよりも、真実とは何かということが改めて、これまで以上に深い次元で問われることになるでしょう。
私自身は、虚構も真実も連続していると捉えていますので、すべてが虚構であり、すべてが真実です。
真実の裏には虚構があり、虚構の裏には真実がある。

「虚構新聞」の編集者が、社会の変化を感じたのは、2012年に、「橋下市長、市内の小中学生にツイッターを義務化」と報じたときだそうです。
それがものすごい勢いで拡散し、「なぜウソの情報を流すのか」と次々に怒りの声が上がったのだそうです。
虚構新聞の記事の意味が、伝わらなかったわけです。
情報リテラシーが全く変わってしまったと言うべきかもしれません。
これも大きな問題です。

反知性主義につづく、「ポスト真実」。
知性と真実の捉え方を変えることが大切かもしれません。

|

« ■節子への挽歌3414:すぐに忘れることの良さ | トップページ | ■節子への挽歌3415:人生の選択肢はたくさんある »

社会時評」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30899/64741101

この記事へのトラックバック一覧です: ■虚構と真実:

« ■節子への挽歌3414:すぐに忘れることの良さ | トップページ | ■節子への挽歌3415:人生の選択肢はたくさんある »