■世界をどう認識するか
前にも何回か書いたことですが、世界の構造をどう認識するかで、世界の風景は変わってきます。
最近のトランプ現象も、たぶん少し変わって見えてくるでしょう。
TPPの問題もそうですが、世界の構造の把握によって、その評価基準は反転します。
非常に荒っぽい言い方をすれば、1%の視点で見るか99%の視点で見るかということです。
あるいは、マネタリー経済の視点で見るか、サブシステンス経済の視点で見るかです。
昨日の朝日新聞の「異論のススメ」で、佐伯啓思が「グローバリズムの時代に保護主義は本当に悪か」と書いていましたが、私もかなり共感できるところがあります。
世界の経済環境がこれほど大きく変わっているのに、なぜかまだ「自由貿易」信仰が多いのは不思議です。
そもそも「保護」とは「何かを何かから守ること」ですが、その2つの「何か」をきちんと理解して、保護貿易を語っている人はいるのでしょうか。
しかも、世界の構造は変質しています。
人々の生活を豊かにするための経済の成長や発展は、いまや資本の増殖のための経済成長になってきています。
貿易障壁をなくすことが、人々の生活を豊かにするとは限らなくなっています。
それは、経済行為がいまや文化や生活と切り離されてしまったからです。
自由貿易という時の「自由」とは、誰にとっての「自由」か。
そうしたことをわかりやすく可視化してくれたのがトランプ大統領です。
もっともトランプ大統領もまた、自由貿易主義者でしょうが。
自由貿易論も、保護貿易論も、その目的は人々の生活を豊かにすることだったはずです。
その原点に戻って考えなければいけません。
世界を、個人を主体として考えるか、客体として考えるかで、その構造は全く違って見えてくるでしょう。
私たちは、そろそろ、「個人の尊厳」を起点にして、世界を構想する時代に来ているように思います。
そういう思いでトランプの発言を受け止めると、そこに時代の流れへの大きな異議申し立てを感じます。
多くの報道はトランプの言動を「人権無視」と捉えているように思いますが、ほんとうにそうなのか。
これまでのオバマ政権はほんとうに「人権尊重」だったのか。
トランプ騒動は、そういうことを考える絶好の機会ではないかと思います。
これまでの枠組みで考えずに、枠組みそのものを考えることも、時に必要ではないか。
私の場合、その起点は常に個人の尊厳です。
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