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2017/02/06

■子どもたちにとって、一番大切なのは何なのか

今年4月入所を目指した認可保育所の選考結果通知が全国で2月から本格化し、落選ラッシュで親たちが悲鳴を上げている。ソーシャルメディア上には「このままでは共倒れ」「ショック過ぎる」と悲痛な声が全国から寄せられている。昨年、認可保育所を落選した母親が「保育園落ちた。日本死ね!」とブログに書いて注目されて間もなく1年。親たちの声を集める動きは今年も始まっており、怒りは大きなうねりとなりそうだ。

これは昨日の毎日新聞の記事です。
「保育園落ちた。日本死ね!」に関しては、以前も書いたことがありますが、こうした状況で育っていく子どもたちの行く末が、心配です。
念のために言えば、私は「保育園が不足している」という状況を憂いているのではありません。
むしろ、こうした声を上げる親の元で、そしてこうした声が運動にまでなってしまうような社会で、子どもたちが育てられていく、あるいは育っていく状況が気になるのです。
そもそも保育の問題を保育園待機児童の数の問題にしてしまう社会にも疑問を感じます。
そこに私たちの生き方の本質が象徴されているように思うのです。
私には、問題の捉え方が間違っているとしか思えないのです。

東京都の三鷹市では、子どもを認可保育園に入れられなかったのは自治体が責務を果たしていないためだとして、市に対して、無認可の保育施設にかかった費用の一部60万円の賠償を求める訴訟を起こした両親もいます。
「保育園落ちた。日本死ね!」の発想からは、当然出てくる行動です。
私にはとても理解しがたい話ですが、そうした親に育てられた子どもたちがどうなっていくのか気になります。

こう書いていくと、保育の大変さは親でないとわからないと言われそうです。
いま娘が孫を育てていますが、その大変さは見ていてわかります。
しかし、だからといって、その大変さを解決する方策は、認可保育園に依存するだけではないはずです。
保育園がなかった時代もありました。
こういうと、さらに2つの指摘が来そうです。
いまは家族形態も変わったし、近隣社会の状況も変わってきた、と。
つまり共稼ぎも増えたし、家族構成のも三世代ではなくなった。
それに近隣の付き合いも疎遠になって、地域コミュニティもなくなった。
たしかにそうかもしれません。
しかし、だとしたら、なぜそうした家族や親子や地域社会の変化を問題にしないのか。
なぜ子育て時期にまで共稼ぎをする生き方を選ばなければいけないのか。
そういう時代の流れに問題はないのか。

3歳児神話は今ではまさに「神話」になってしまった感があります。
私は20年ほど前に、保育のあり方を考えて、新しい保育システムを提案する活動に取り組んだことがあります。
その時の問題意識は、保育という切り口から私たちの生き方や社会のあり方を問い直そうということでした。
つまり、「子どもを育てる」のではなく「子どもが(社会)を育てる」という発想です。
私たちは、子どもたちから学ぶことがたくさんあると感じていたからです。
その時にも、委員のみなさんからは3歳児神話は否定されていたように思いますが、私は3歳児神話、つまり3歳頃までは両親が、あるいは親密な人間関係の中で育てることの意味を否定できませんでした。
もちろん現実はそれが難しいわけですが、もしそうならなぜ問題を逆転させて、3歳児までは両親が中心になって育てられる仕組みを育てていかないのかが私の疑問です。
子供は社会が育てるというのと保育園で育てるというのとは全く別の話です。

ヴェトナム出身の禅僧、ティク・ナット・ハンはこう書いています。

みずからが幸せで平和でないならば、愛する人たちや、同じ屋根の下に住む人たちとさえ、平和と幸せを分かちあうことができません。 平和で幸せであるならば、私たちは微笑し、花のように咲き開くことができます。 家族全員、社会全体が、私たちの平和の恩恵を受けます。

子どもたちにとって、一番大切なのは、何なのか。
大人たちにとって、一番大切なのは何なのか。
「保育園落ちた。日本死ね!」という言葉には、幸せも平和も感じられません。
親の心が荒れていたら、子どもたちにも微笑みは消えていきかねません。

ティク・ナット・ハンは、こうも書いています。

人生は苦しみに満ちています。 しかし、人生にはまた、青い空、太陽の光、赤ん坊の目といった、素晴らしいことがいっぱいあります。

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