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2017/06/25

■憲法サロン「私の憲法改正草案(畑さん編)」の報告

憲法改正がいよいよ現実的な話題になってきました。
時に正反対の内容を含むものまでが「憲法改正」と一括して議論されるような粗雑な状況のなかで、憲法とは何かについての議論もないまま、すでに「違憲行為」を強行的に繰り返している現在の安倍政権が、十分な国会議論もないままに、多数決論理をつかって、決まった方法に向けての改正がスケジュール化している状況に、恐ろしさを感じます。

そうした状況になっている大きな理由は、たぶん「日本国憲法」で「主権者」とされている、私たち国民が、憲法についてきちんと理解していないからではないかと思います。
そこで、社会の中に憲法議論を広げていく必要を感じていましたが、今回、一市民である畑さんが、自民党の憲法草案に刺激を受けて、「立憲主義・国民主権主義に基づく日本国憲法改正草案」をまとめたというので、畑さんの改正草案をお話しいただきながら、憲法への理解を深めるサロンを開催しました。
ちなみに、畑さんは、組織に勤める現役のエンジニア/アナリストです。
畑さんの勇気と良識に敬意を表したいです。

集まったのは8人。
看取りや子ども関係の活動に取り組んでいる福祉関係者、農業や商品開発などの分野での起業家、留学生支援に取り組んでいる人、長年基本的人権の問題から社会の問題を考えている人、リンカーンクラブ代表などで、女性は一人でした。
私はNPO関係者や企業に勤める人たちに集まってほしかったのですが、反応は弱かったのがとても残念でした。
憲法の動向で、市民活動などいかようにも変えられてしまうことは、歴史が示しています。
そういう危機感がほとんどない、現在の日本のNPO活動には大きな危惧を感じざるを得ません。
もっとも最近は、各地で憲法カフェ的な集まりも広がりだしていますので、もうすでにそういう場で話し合いや学び合いが始まっているのかもしれません。
そう思わないと不安で仕方がありません。

本論に入る前に、こうした議論も少しありました。
社会をよくすることを目指す活動なのに、政治はご法度という日本の仕組みに関する疑問です。
この日本的特殊性は、もっと認識されるべきだと思います。

Hata20170624

サロンの報告の前に、余計なことを書きすぎました。
サロンでは、畑さんの「改正草案」の改正の主旨とポイントを、現行憲法と自民改正案と比較しながら、話してもらい、各章ごとに話になりました。
なお、畑さんが作成した「改正草案」と「現行憲法および自民党改正案との対比表」は下記にアップしていますので、ご関心のある方はご覧ください。

●立憲主義・国民主権主義に基づく日本国憲法改正草案
http://cws.c.ooco.jp/hata01.pdf
●畑改正案と現行憲法、自民党改正案との比較表
http://cws.c.ooco.jp/hata02.pdf

私が理解した畑さんの憲法草案の概要を、私の主観的受け止めに基づいて説明します。
私が感じた重要なポイントは3つあります。
畑さんは、憲法制定権力を国民ではなく、まずは自由意志を持った個人におきます。
そして、「個人が主役になって自分たちを律する国家(政府)の基本構造を決めるもの」として憲法を位置づけます。
ちょっと誤解を生みやすい比喩だったのですが、畑さんは「日本国の株主になりましょう」という呼びかけのために、国家の統治構造や大切に知する価値(基本的人権など)をうたったものと説明しました。
具体的に言えば、その主旨が「前文」でうたわれ、最初に統治構造の枠組みが詳細に書かれるとともに、日本国民の要件が明記されています。

しかし、その一方で、畑さんは世界市民を目指すという国家を超えた世界国家理念を底流においています。
現行憲法の9条にあたる部分は、「他国への武力攻撃の禁止」とタイトルも変わり、「国民防衛軍」の設置が規定されています。
ちょっと似た言葉ですが、「国防軍」と「国民防衛軍」は全く違う概念だろうと思います。

3つ目は、条文の主語を明確にすることでできるだけ解釈の幅を少なくしようとしています。
畑さんは、現行憲法は主語があいまいなために解釈の幅を広げていると考えているようです。

以上の大きな発想の違いを示したうえで、条文の説明に入り話し合いがはじまりました。
最初の「前文」はまったくの畑さん独自案です。
前文は、憲法の基本性格を示す内容が書かれていますが、ここで議論が盛り上がり、放っておいたらそれで2時間取られそうでした。
次に置かれているのが、「国会」「内閣」「司法」の三権分立の統治構造ですが、かなり思い切った提案が含まれています。
たとえば、国務大臣の過半数は国会議員以外の人とされています。
議論はいろいろありましたが、そもそも三権分立で国家は統治できるのかという話も出ました。
国会が内閣の長を選出し、内閣の長が司法の長を選出する現在の仕組みへの疑問も出ました。

この辺りまではかなり時間をかけての話ができましたが、だんだん時間がなくなりあとはポイントだけの話し合いになりました。

統治構造につづくのが、「他国への武力攻撃の禁止」と「国民の権利及び義務」、ここではむしろ「人を殺さない権利」が話題になりました。
財政と地方自治はまだ十分には考えられていないようでパス。
「緊急事態」を加えていますが、これは自民党改正案を基本にしています。
ここは極めて重要なポイントだと思いますが、時間がなくて議論できませんでした。
最後に「天皇および後続」が第9章におかれています。
憲法の中での位置の見直しもともかく、その内容はいささか驚愕するものですが、ここはたぶんまだ思考途中のような気がしました。
さらにその後に「国旗及び国歌」も章立てされています。

長くなりすぎて、どんな話し合いが行われたかを書く気力がなくなりましたが、さまざまな議論を呼び起こすという意味では、とてもいい刺激を与えてくれたと思います。
3時間ほどの話し合いでしたが、それぞれに気づきがあったように思います。
憲法は抽象的に語っていてもなかなか理解できません。
しかしこうして憲法全体を考え直した人の話を聞くと、具体的な問題や憲法とは何かもわかってきます。
さらに言えば国家とは何か政治とは何かもわかってくる。
改めて憲法サロンの意義を実感しました。
しばらく継続実施することにしました。

次回は、7月22日(土曜日)、今回参加された川本さんによる「憲法改正私案」を、今度は基本的人権を基軸においてお話してもらうことにしました。
他にも憲法改正私案をお持ちの方がいたら、ぜひ発表しに来てください。
誰でもが発表者になれるサロンにしたいです。
いつかは、自民党改正案を話に来てもらうことも考えたいです。
そこまで行くと、叱られそうですが、いろんな考えに私たちはもっと触れて、自分の考えをつくっていくことが大切です。

サロンの話題提供者を募集しますので、だれでも気軽に連絡してください。
また出前憲法サロンも企画しますので相談してください。

畑さん
不正確な報告ですみません。
修正などあればお願いします。


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