■節子への挽歌3617:『般若心経自由訳』
節子
一条真也さんが『般若心経自由訳』を上梓し、送ってきてくれました。
沖縄在住の写真家安田淳夫さんの写真と組み合わさって、一条さんの自由な訳とそれを補足する話が、わかりやすく展開されています。
一条さんの自由訳とその表現方法は、空海の『般若心経秘鍵』に、そのベースがあると、一条さんは本を送ってきてくれた手紙に書かれていました。
『般若心経秘鍵』で、空海は「空」を「海」、「色」を「波」にたとえて説いているそうです。
私にとって一番新鮮だったのは、般若心経の中に書かれている「真言」の捉え方でした。
毎朝、節子に挨拶する時、時に般若心経全部ではなく、最後の真言部分だけを唱えることがあります。
羯諦羯諦、波羅羯諦、波羅僧羯諦、菩提薩婆訶。
真言ですので、まさに無分別智の世界ですが、「彼岸に到達した者こそ幸せだ、あなたも一緒に彼岸に行きましょう」というような意味で捉えられていますが、一条さんはそこをもっとわかりやすくとらえます。
ちょっと長いですが、そのまま引用させてもらいます。
人は、母の胎内からこの世に出てくるとき、
「おぎゃあ、おぎやあ」と言いながら生まれてくる。
これから教える呪文は
「おぎやあ、おぎやあ」 と同じことだ。
すなわち、
「ぎゃあてい ぎゃあてい はあらあぎゃあてい
はらそうぎゃあてい ぼうじいそわか」
そう、亡くなった人は赤ん坊と同じく、
母なる世界に帰ってゆくのだ。
「あの世」とは母の胎内であり、
死を怖れることはない。
死別の悲しみに泣き暮らすこともない。
「この世」を去った者は、
温かく優しい母なる「あの世」へ往くのだから
そして一条さんは、「これが般若心経。「永遠」の秘密を説くお経である」と言っています。
とてもわかりやすいです。
最近私は「この世」も「あの世」も重なっているような気がしてきていますが、それはそれとして、この自由訳にはとても共感しました。
空海の「海」と「波」の写真とそれを使った空の説明もとても説得力があります。
この本はしばらく節子の位牌の前においておきましょう。
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