■北朝鮮の人たちは、私たちどころではないでしょう
毛里和子さんの「日中漂流」(岩波新書)の中にこんな文章が出てきます。
1971年7月から10月、周恩来首相は実は依然として日本への強い警戒心と不信を抱いていた。秘密訪中したキッシンジャーとの会談中、周恩来が、米国が台湾から兵力を引き揚げた後、日本軍が空白を埋めるのではないか、日本の軍事的膨張は止められないのではないか、などと日本を抑止することを米国が約束するよう執拗に求めていることからも、それは明らかである。
毛里和子さんの「日中漂流」(岩波新書)の中にこんな文章が出てきます。
1971年7月から10月、周恩来首相は実は依然として日本への強い警戒心と不信を抱いていた。秘密訪中したキッシンジャーとの会談中、周恩来が、米国が台湾から兵力を引き揚げた後、日本軍が空白を埋めるのではないか、日本の軍事的膨張は止められないのではないか、などと日本を抑止することを米国が約束するよう執拗に求めていることからも、それは明らかである。
1971年においてさえ、中国でさえ、日本の攻撃を恐れていたということを知って驚きました。
北朝鮮が、今日、弾道ミサイルを北東方向へ発射した報道を見ていて、その話を思い出しました。
報道では、日本人が脅威に感じているという報道ばかりでてきますが、北朝鮮の人たちの恐怖感は、日常的に広がり深まっているのかもしれません。
最近はむしろそのことが気になって仕方がありません。
アメリカや日本の為政者は、北朝鮮の立場を全く理解しようとしていないのではないか。
そしていうまでもなく、それぞれの国民もです。
北朝鮮は朝鮮半島を統一することが目的だから、核兵器開発はやめないだろうと武貞さんが話していました。
私もそう思いますし、その姿勢を非難する気にはなれません。
そもそもそういう行動を始めたのはアメリカでした。
いわゆる核抑止力戦略です。
それを捨てずに、他の国の核兵器開発を非難するのは、私には理解できません。
まずは自らの核兵器を廃棄してからこそ、北朝鮮に核兵器開発をやめろという資格が出てきます。
それが私の「常識」ですが、こんなことを言うと非難されそうです。
核拡散条約に署名しないのであれば、むしろ核兵器をだれももてるようにすべきではないかとさえ、私は思います。
自分だけ核兵器を所有して(いうまでもなく日本も実質的には核兵器所有国だと思います)、相手が核兵器を持とうとすると悪の国家と呼ぶことが、私にはまったく理解できません。
素直に考えれば、北朝鮮の行動はとても納得できます。
私には理にかなっているとさえ思えます。
理解できなのはアメリカと日本の政府です。
北朝鮮の人たちの恐怖感への、僅かばかりの想像力があれば、世界の見え方は変わってくるように思います。
誤解のないように書き加えますが、私は北朝鮮の金政権を支持しているのではありません。
しかし金政権がなんでこんな行動を取り続けているかには、きちんと理由があるということを忘れてはいけないと思います。
自らを変えずして、相手を変えることなどできません。
相手を知らずして、相手と対話することなどできません。
そして、それらがない限り、世界は見えてこない。
ただ、そう思っているだけのことです。
最近のマスコミ報道は、かつての大本営発表と同じなのではないかという気がしてなりません。
たぶんこんな感じで、鬼畜米英観がみんなの常識になったのでしょう。
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