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2017/08/21

■企業を考えるサロン「生物学からみた企業」報告

4回目の企業サロンは、趣向を変えて、細菌学の研究者である益田さんに「生物学からみた企業」を話題提供してもらいました。
直前になって参加申し込みが増えて、結局、14人になりました。
しかも個性的な経営をしている企業の社長が2人参加しました。

生物の特徴は「復元性」だと益田さんは話し出しました。
また生物と環境は、図と地の関係にあるが、その境界は明確でないとともに、一方が消えたら、もう一方も消えてしまうという話もありました。
そして、そのわかりやすい例として、朱鷺が滅びたのは、朱鷺が生きていける環境が滅びたことでもあると話し、朱鷺を連れてきても環境がそのままではだめだろうということを示唆されました。
まさに企業にも通ずる話で、まさに昨今の日本企業が置かれている問題に通じていく話です。

図と地の関係で、どこまでを図の地、つまり主体にとっての環境と捉えるかが大切です。
そこで、ジフテリア菌をモデルに人間と企業(組織)の話になりました。
一部のジフテリア菌には、ファージという毒素を持つウィルスが寄生しているそうですが、ジフテリア菌が人間に悪さをするのは、そのファージなのだそうです。
言うまでもありませんが、ファージには「悪意」などありません。

それらは三層構造をしています。
ファージにとっては、地(環境)はジフテリア菌になり、ジフテリア菌にとっての地(環境)は人間の人体になります。
人はジフテリアを発病すると死に至ります。
でもそれは、ジフテリア菌の意図ではなく、ファージのせいなのです。
つまり細菌もウィルスも、自らの「直接の環境」を破壊することはないのです。
なぜなら図は地あってのものだからです。
ファージはジフテリア菌のために、人体を壊しますが、長い目で見ればそれはジフテリア菌にとっても不幸な結果をもたらすのです。
自らの生存を考える時に、どこまでを環境と考えるかはとても大切です。

企業になぞらえれば、「会社のため」と思ってやったことが社会に迷惑を与え、会社が倒産するという、企業不祥事の話につながっています。
こうした認識は、アメリカの企業で1980~90年代に広がりました。
企業にとっての地は、顧客や狭義のステークホルダーではなく、社会そのものだという意識が高まりました。
当時、IBMは社会にどう関わるかは企業にとっての「マターオブサバイバル」だと言っていました。
しかし、その後、どこかでまた、企業は「図と地」の捉え方を間違ってしまっているように思います。
救いの一つは、CSVですが、それも単なる経営戦術論になっているような気もします。
ちなみに、日本の商人道は、顧客のみならず社会を環境と認識していたように思います。

いささか先走りましたが、ファージとジフテリア菌と人体の話は、企業経営を考える上で示唆に富んでいます。
いろいろと考える材料があったように思います。

ところで、企業を三層構造で考えた時に、ファージの場所には何が入るでしょうか。
今回も少しだけ話が出ましたが、これがとても大切な問題です。
ここを深掘りできればよかったのですが、私の不手際でそこまで行けませんでした。
しかし、サロンでいろんな話を聞いたみなさんがそれぞれに考えてもらえればと思います。
「人」、それも「経営者」なのか「社員」なのか「出資者」なのか、あるいは「お金」なのか。
そこに今の企業を考えるポイントがあるように思います。

「復元性」の問題もとても重要な視点だと思います。
生物学における「進化」、とりわけ「共進化」の考えは示唆に富んでいますが、この復元には動的なダイナミズムがあるように思います。
参加者の石井さんや小宮山さんは、それぞれの地元で、地域社会を豊かにすることを視野に置いた経営に取り組んでいます。
そんな話にまで持っていきたかったのですが、時間切れでした。
そこで今度は横浜で造園業の会社石井造園を経営している石井さんに、企業サロンをお願いすることにしました。
石井造園は、数少ないBコーポレーションに認定会社の一つです。
10月になるかと思いますが、ご期待ください。


Masuda20170820


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