■サロン「Bコーポレーションってご存知ですか」報告
今回の企業を考えるサロンのテーマは「Bコーポレーション」。
台風襲来の最中にもかかわらず13人が参加しました。
台風が来ているのに終わった後もなかなかみんな帰ろうとせずに、話題を提供してくれた石井さんとの話が続きました。
新しい企業のあり方のヒントがたくさんあったような気がします。
Bコーポレーションとは、アメリカのNPO法人BLabが認証した企業で日本ではまだ4社しか認証されていません。
今回お話し下さった石井さんが社長をつとめる会社、石井造園はそのひとつです。
しかも、とりわけ何かをしたわけでもなく、認証されたいと思ったわけでもなく、NPOに評価されるということに興味を持った石井さんが、地のまま申請したら高評価で認証されたのです。
企業を評価する視点は3つあります。
まずは経済的な視点からの評価で、これはたくさんの評価の仕組みがあり、株価もその一つです。
もう一つは、そこで働く従業員の視点からの評価で、たとえば、GPTW(Great Place to Work:働きがいのある会社)調査があります。
これは一度、湯島でもサロンをやりました。
Bコーポレーション認証は、それらとは違い、もっと広範囲の視点での企業評価制度です。
大きくいえば、環境や地域社会などを含めた持続可能な社会(SDGs)という視点から企業を評価します。
ですから評価主体もNPOなのです。
そして、それは同時に、会社そのものの持続可能性にもつながっているという視点です。
私が一番信頼する企業評価の発想です。
石井さんの話はとても人間味あふれる話で、いまの企業が失ってきていることを思い出せる内容でした。
石井造園の経営理念は、「企業活動を通して、幸せを共有する企業を目指す」です。
BコーポレーションのBは、ベネフィットの略ですが、石井さんはこのベネフィットを「幸せ」と受け止めているように思いました。
ベネフィットは何かという話題も出ましたが、コーオウンド・ビジネスに取り組んでいる細川さんが「便益」と訳することに違和感を表明されました。
たしかにもっと広くて深い意味を感じます。
そうした広くて豊かな内容が、石井さんのお話から伝わってきました。
石井造園が取り組んでいる社会活動はいろいろありますが、その方針は「ついでに、無理なく、達成感のある活動」です。
「ついでに」というのは、本業とつなげながら、という意味です。
それでもできることはたくさんあると石井さんは考えています。
「無理なく」は持続性を大事にしているからです。
「達成感のある」は、社員がしっかりと関わっている活動だということでもあります。
この短い方針に、石井造園が社会とどう関わろうとしているかがすべて示されています。
そこから学ぶことはたくさんあると思います。
石井さんのお話を貫いていたのは、人を基点で考えるということです。
最近の多くの会社では、会社という仕組みに人を当てはめがちですが、石井造園は人を基点にして会社の仕組みを考えています。
ですから、有給休暇の前借りとか分割取得とかが、社員の要請によって制度化されてきています。
それは、石井さんの人間観に大きく影響されているように思います。
石井さんが社員のことを話しているうちに涙ぐむ場面がありましたが、石井さんがどのくらい社員と共にあるのかが伝わってきました。
そして社員もまた、石井造園という会社を「私たちのもの」と受け止めているようです。
ですから、社長がいなくても、社長の考えを社員が自ら行動に移していくのです。
その象徴的なことが、まさにあの3.11の時に起こったそうです。
社長が渋滞に巻き込まれて帰社できない状況の中で、会社を開放して、被災者への「ベネフィット」が提供されていたのです。
その後、そのベネフィットのおかげを受けた方からお礼の菓子箱がたくさん届いたそうです。
まさに「ついでに、無理なく、達成感のある活動」そのものです。
もう一つ印象的だったのは、社員が会社のなかだけではなく、社会で輝くことを支援しているという姿勢です。
それが会社の輝きにもつながってくることを石井さんは実感されています。
石井さんの視野は、会社の壁を超えて、社会を向いています。
それこそが、Bコーポレーションの精神だと思います。
他にも緑化基金の話やいろんな話が出ましたが、いずれもそこには人間を感ずるものばかりでした。
いつもメモを取らないので、偏った報告になっているかもしれませんが、できればどなたかフォローしてください。
なお、石井造園のホームページにはいろんな社会活動も紹介されています。
http://www.ishii-zouen.co.jp/company/
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