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2017/10/08

■制裁への逃走と「離見の見」

フランクリン・ルーズベルトの前のアメリカ大統領ハーバート・フーバーは、その回顧録でルーズベルトを厳しく批判しています。
GHQの教育でルーズベルトは偉大な大統領だったと多くの日本人は刷り込まれていますが、最近ようやくその実体が露呈してきています。
真珠湾攻撃で日本が戦争を始めたという考えも疑問がもたれはじめました。
フーバーの回顧録を材料に、ルーズベルト批判の書を書いている青柳武彦さんは、太平洋戦争は1937年、つまり真珠湾攻撃の4年前に、アメリカによってはじめられていると言っています。
アメリカ政府が、真珠湾攻撃を事前に察知していて、むしろそれを利用したことは以前から明らかにされてきていますが、いまもって多くの日本人もアメリカ人も、真珠湾攻撃によって日米は開戦したと考えています。

まあその種の話は、かなり詳しく書かれている本がたくさんありますので、関心のある人はそれを読んでもらうとして、今回紹介したいのは、フーバーの回顧録に書かれている次の指摘です。

制裁は、殺戮と破壊以外の全ての戦争行為そのものを実行するもので、いかなる国といえども、品格を重んじる国であれば、我慢できることではなかった。

日本はアメリカによる厳しい制裁によって、戦争へと向かってしまったわけです。
その体験がありながら、いま日本の政府は、北朝鮮に対して、同じような「制裁」に取り組んでいる。
フーバーの政治感覚からすれば、「制裁」はすでに戦争行為なのです。
戦争はすでに始まっているといえるのかもしれません。
異論のある人も多いでしょう。
しかし、アメリカに制裁されていた時の日本のことを少しは思い出したいものです。

いささか論理が飛び過ぎだと思いますが、日本の社会には、いま「制裁」思考が広がっているように思います。
子どもたちのいじめ、多発する自殺、メンタルダウンの増加。政治や暴力団の世界での制裁。
「刺客」などというおぞましい言葉をためらいもなく使う政治家たち。
相手の身になって考える余裕がなくなっているのかもしれません。

ここで思い出すのは、世阿弥の「離見の見」です。
あるいは道元の「まず我見を離るべし」という教えです。
日本の文化が培ってきた、そうした日本の知恵が、最近どんどんと消えてしまっているのが、とてもさびしいです。

残念ながら私はフーバーの回顧録を読んでいません。
友人が、草思社から翻訳が7月に出たと教えてくれました。
ちょっと高いので、迷いますが、読んでみようかとも思います。

「裏切られた自由 上: フーバー大統領が語る第二次世界大戦の隠された歴史とその後遺症」
下巻は来月発売予定だそうです。

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平和時評」カテゴリの記事

コメント

 佐藤さん、
 本日のサロンには所用で出席できませんが、悪しからずご了承願います。


 >フーバーの回顧録を材料に、ルーズベルト批判の書を書いている青柳武彦さんは、太平洋戦争は1937年、つまり真珠湾攻撃の4年前に、アメリカによってはじめられていると言っています。
 >アメリカ政府が、真珠湾攻撃を事前に察知していて、むしろそれを利用したことは以前から明らかにされてきていますが、いまもって多くの日本人もアメリカ人も、真珠湾攻撃によって日米は開戦したと考えています。

 私も太平洋戦争が米国(ルーズベルト政権)によって仕組まれたものと云った見解やあるいは米国が開戦の理由を模索していく中で日本の真珠湾攻撃をも織り込み済みであったとする言説が存在することは承知しています。しかし、殊更に米国の策略や不実を詰ることは容易いのでありますが、歴史学者や政治学者、とりわけ政治家達の間においても当時の日本国政府がそうした計略に嵌まってしまったことそれ自体への言及や自己側の原因分析を置き去りにしていることこそが我々日本人にとって今日に至っても敗戦の蹉跌を引き摺っている要因になっていると思っています。

 >『制裁は、殺戮と破壊以外の全ての戦争行為そのものを実行するもので、いかなる国といえども、品格を重んじる国であれば、我慢できることではなかった。』

 この原文(英文)を見てみないと何とも謂えないのでありますが、少なくとも“制裁”が相手を追い詰めようと意図した行為であると云ったように読み取ることは可能でしょう。けれども、何故、ルーズベルトがそう企図したかについては、当時のヨーロッパ情勢を構成していた諸々のファクターを加味しながらヘゲモニー争いの在り様を捉え直さなくてはならないと思っています。
 尚、私は未読ですが、フーバーの回顧録とは『裏切られた自由 フーバー大統領が語る第二次世界大戦の隠された歴史とその後遺症』のことを指しているのであれば、渡辺惣樹訳にて草思社より2017年7月に出版されています。

 また、会いましょう。

投稿: 向阪夏樹 | 2017/10/09 12:18

ありがとうございます。翻訳のこと、教えてもらいましたが、ネットで調べたら私にはちょっと手が出ない本でした。
どこか図書館で探してみようと思いますが、分量的にも手が出なさそうです。
「翻訳」が英語ではどうなっているかは調べてみたいと思います。
どなたかご存じであれば教えてください。

投稿: 佐藤修 | 2017/10/09 12:50

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