■企業を考えるサロン「コーオウンド・ビジネス」報告
難しいテーマにもかかわらず、15.5人のサロンになりました。
0.5人と端数があるのは、なんと1歳9か月のお子さんと一緒に参加してくださった方がいるのです。
湯島のサロンの年少記録がまた更新されました。
話題提供者の細川さん(従業員所有事業協会代表)は、何時間でも話せる材料をお持ちですが、今回は60分に絞ってもらい、その後みんなで話し合いました。
話の内容は、とても充実したものですが、報告は細川さんの書籍「コーオウンド・ビジネス」に任せたいと思います。
とても読みやすく面白い本なので、ぜひお読みください。
http://cws.c.ooco.jp/books.htm#170910
とても印象的だったのは、コーオウンド・ビジネスの会社はどこを訪問しても気分がいいという細川さんの体験談でした。
また「顧客第一」などと言わずに、堂々と「社員第一」を打ち出していること。
そのくせ、顧客からはとても愛されて大切にされていること。
ジョークやいたずらが大好きで、ともかくオープンマインドであること。
などなど、いいことばかりなのですが、細川さんによれば、そうしたことがデータなどによって実証されているのです。
私は、データなどなくても、素直に考えれば当然のことだろうと思います。
他者のために働くよりも、自分(たち)のために働く方が、効率も充実感も良いに決まっているからです。
そういってしまったら実も蓋もありませんが、そういうことが「問題」になるところにこそ、私は問題の本質があるような気がします。
会社をコーオウンド化(従業員が株式を所有)すると、コミュニティ的側面が強まってくるという話も出ました。
それに関連して、アソシエーションとコミュニティの関係が話題になりました。
これも、これからの企業のありようを考える時のポイントの一つです。
金銭を基準にした合目的的なアソシエーションの性格の強いアメリカ型の企業と金銭以外の要素も配慮されたコミュニティの性格の強い、50年ほど前までの日本型の企業との違いを、改めて考え直してみる時期かもしれません。
この議論に関連して、NPOの齋藤さんから終了後、「コミュニティは ウチ/ソト といった排他性を帯びることはないのでしょうか」という質問をもらいましたが、それを回避するために「弱いネットワーク」とか「オープンコミュニティ」の概念が広がっているように思います。
アソシエーションとコミュニティの議論と実際は、マッキ―バーの時代からかなり進化しているように思います。
コーオウンド型の会社を仲間と立ち上げた坪田さんが自社の話をしてくれました。
坪田さんの会社は、コーオウンド・ビジネスであると同時に、ホラクラシー(階層のないフラットな組織構造)をとっているそうですが、これも論点としてはとても面白いです。
つまり、所有組織と執行組織が日本の場合、混同されがちですが(最近かなり整理されてはきましたが)、細川さんは、経営は経営者の専権事項であることを強調しています。
コーオウンドはコーマネジメントではないのです。
コーオウンド・ビジネスモデルは、会社経営の思想を大きく変えていくだろうと思いますが、「現場的」に長年、たくさんの企業の経営にかかわってこられている高橋さんの、現場に根付いた新しい企業経営思想を創りだしていかなくてはいけないという話にはとても共感しました。
日本では数少ない「コーオウンド・ビジネス」の日本レーザーの近藤さんは、自らの実践を踏まえて、世界に向けて新日本型経営を打ち出していきたいとお話しされていたことがありますが、コーオウンド・ビジネスにはそのヒントがたくさんあります。
企業をコーオウンド化することで、従業員が社員になり、その結果、問題の捉え方が変わっていくことで、会社ももちろんですが、個々の従業員が組織の矛盾を自己消化していくことで、大きなエネルギーが生まれてくるという話も興味深い視点です。
これに関しては、参加者の近藤さんがとてもいい総括をしてくれていましたが、メモしていないので、正確に報告できないので省略します。
近藤さんがフォローしてくれるかもしれません。
細川さんは、来年こそは日本も「コーオウンド元年」になるだろうと話されていましたが、すでに上場企業がコーオウンド化に動き出しているそうで、来年はきっと大きな話題になっていくでしょう。
コーオウンド・ビジネスのことがもっと話題になっていけばと思っています。
コーオウンド化は、私たちの働き方にもつながっています。
コーオウンド・ビジネスに関心のある人は、細川さんが主催する研究会もありますので、ぜひコンタクトしてみてください。
細川さんは、終始楽しそうに話していました。
来年はきっともっと楽しそうに話すことになるでしょう。
「コーオウンド元年」の到来は間違いありません。
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