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2018/01/12

■2つの政治

経済時評で、経済には2つあると書きましたが、政治にも2つあります。
今回はそのことを書きます。

政治とは何かと訊かれたらみなさんはどうこたえるでしょうか。
これが意外と難しい問いです。
手元にある政治関係の書籍を20冊ほど調べましたが、まともな定義づけがあまり見つかりません。
そこで大辞林を調べたら、3つの定義が書かれていました。

①統治者・為政者が民に施す施策。まつりごと。
②国家およびその権力作用にかかわる人間の諸活動。
③諸権力・諸集団の間に生じる利害の対立などを調整すること。

簡単にいえば、①は支配のあり方であり、②と③は社会や政治のあり方です。
つまり、政治には「支配のための政治」と「生活のための政治」があります。
私は、前者を「小さな政治」、後者を「大きな政治」と呼んでいます。
前者の政治は関心の対象として位置付けられますが、後者はすべての人にとっての日常の活動といえます。
政治への関心が話題になりますが、その場合の「政治」は前者の政治です。

以前、NPO活動への資金助成プログラムの事務局を委託された時、自由にやっていいけれども、政治関係と宗教関係の活動だけは資金助成の対象から外してほしいと言われました。
政治と宗教こそが、一番大事な「市民活動」だと思っている私には違和感がありましたが、「政治」「宗教」の定義が違っていることをその時も痛感しました。
日本では、「政治」は「お上」、宗教は「反お上」の文化がいまなお根強く残っているのです。
そこには、「市民」など活動する余地はないのです。

ところで、お上の政治と生活者の政治をつなぐルートが「選挙投票」です。
ルソーは、選挙の日だけ自由でその後は奴隷となるといってイギリスの議会民主政を嘲笑したそうですが、それでも支配者の世界の人たちに影響を与えられるのは、代表者の選挙投票です。
それ以外は、支配者の政治には関心を持つなと言われて、日本人は育ってきたわけです。

しかし、政治をもっと広義に捉えれば、まったく違った世界が見えてきます。
アフロヘアで話題になった朝日新聞記者の稲垣えみ子さんが、戦後最低の投票率で終わった2014年末の総選挙の直後、新聞にこんな記事を書いています。

近所のおしゃれな雑貨店でこんな貼り紙を見たのです。 「お買い物とは、どんな社会に一票を投じるかということ」 ハッとしました。 買い物=欲を満たす行為。ずっとそう思っていた。 でも、確かにそれだけではありません。 お金という対価を通じて、それを売る人、作る人を支持し、応援する行為でもある。ささやかな投票です。 選挙は大事です。でも選挙以外のこと、すなわち、一人一人が何を買い、日々をどう暮らし、何を食べ、どんな仕事をし、だれに感謝を伝え…ということは、もっともっと大事ではないか。 逆に言えば、そうしたベースを大切にし尽くして初めて、意味のある選挙が行われるのではないか。 投票しさえすれば、誰かがよい社会、よい暮らしを実現してくれるわけじゃない。 当たり前のことですが、どうもそこを忘れていたことに気づいたのです。 以来、「お金=投票券」というつもりでお金を使っています。

つまり、私たちの日々の行動そのものが、実は大きな政治そのものであり、小さな政治にもつながっているのです。
そのことを意識すれば、たぶん日々の生活も変わってくるはずです。

稲垣さんは、「お金=投票券」と書いていますが、投票権は「お金」だけではありません。
言動のすべてが、投票行為なのです。
しかし、稲垣さんが言うように、お金の意味は大きいかもしれません。
なぜなら政治もまた、いまや金銭によって動き出しているからです。
ここから、経済と政治がつながってくるという話にもなっていきますが、それはまた改めて。

ちなみに、川崎修さん(立教大学教授)は、政治をこう定義しています。

政治とは,さまざまな社会的現実に対して,公共性をもった権力関係として見たり関わったりする,社会に対する私たちの見方・関わり方である。

政治への関心を持つということは、権力者たちの内輪話に関心を持つということではありません。
公共的なことがらに当事者として関わっていくという市民性を持つということ。
私はそう考えています。

Politics_2


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