■アーサー・ビナードさんの「知らなかった、僕らの戦争」
ご自身の戦争時の体験を語りだしている、京都の高林さんが、3月にアーサー・ビナードさんと対談することになりました。
それで、遅まきながら、アーサー・ビナードさんの「知らなかった、僕らの戦争」(小学館)を読みました。
面白くて一気に読みました。
何が面白かったといえば、「本当はみんな知っていた」ということを感じたことです。
正確には、「みんな」ではなく、一部の関係者ですが、その気になれば知ることができたということです。
戦争がはじまった頃、日本は勝つはずがないと語っていた義母に「非国民」と非難していた体験を語っている女性がいます。
「教育」を受けていた人と「違う教育」を受けていた人とは世界が違って見えていたようです。
原爆の真実も「真珠湾奇襲」の真実も、いまでは「教育」通りに考えていない人も増えてきていますが、相変わらず「教育」で教えられたことを信じている人も少なくありません。
しかし、真実は現場にあるということを、この本を読んで改めて実感しました。
ビナードさんの発言にも共感することが少なくありません。
安倍総理の真珠湾訪問とオバマ大統領の広島訪問のからくりは、私も感じていたことで、いずれも違和感を持っていましたが、彼は明確に切り捨てます。
とりわけ、オバマ大統領が長崎に行かずに、しかもオスプレイを誇示したかに関する違和感は、この本を読んで少し納得しました。
広島と長崎の扱いの違いも、この本を読んで納得できた気がします。
それにしても、なぜ広島の人は、毎年、安倍首相を受け入れるのか、理解できません。
この本には、いろんな角度から、戦争にまつわる体験談を23人の人が語っています。
私にはたくさんの新しい気付きがありました。
パンプキン爆弾のように、知らなかったこともあります。
原発は核兵器のために、いまもなお、日本では廃炉されないことへの確信も強まりました。
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