■カフェサロン「日常生活の巡礼化」の報告
これまで3回、スペインのサンティアゴ巡礼を歩き、四国遍路も歩いてきた鈴木章弘さんに、「日常生活の巡礼化」をテーマにお話ししてもらうサロンを開催しました。
13人のサロンになりました。
鈴木さんは、巡礼で得たものや感じたことを、具体的な体験エピソードを交えて、話してくれましたが、話している時の鈴木さんはとても幸せそうでした。
話しながら、涙ぐむような場面もありました。
素晴らしい思い出や体験が、鈴木さんの心身にぎっしりと刻みこまれているのが伝わってきました。
聞いているだけでも、なにかとてもあたたかな気持ちに包まれるような話も少なくありませんでした。
巡礼とお遍路で経験したことは、一言で言えば、「宝の山」のようなものだ、と鈴木さんは言います。
特別な神秘体験がなくても、「小さな幸せ」の瞬間が積みあがっていくのだそうです。
言い換えれば、巡礼とは「小さな幸せ」の連続だというわけです。
人の善意ややさしさに触れ、与えること・与えられることを自然に味わい、自分と他者が溶け合っていくようななかで、自然と誰とも挨拶を交わし、自然とハグまでしてしまうようになる。
「あした死んでもいい」と思えるほどの生きている実感も得られる。
ただただ歩くだけなのに、まさに生命の輝きを実感できるのだそうです。
だから、目的地のサンティアゴ大聖堂に到達した時にも、達成感の歓びよりも、むしろもう巡礼が終わってしまったというさびしさがあったそうです。
これは鈴木さんだけではなく、大聖堂が近づくにつれて、この幸せな巡礼がもうじき終わってしまうのが悲しいと話していた人は、少なくないそうです。
この話は、私たちの生き方に、大きな問いかけをしているように思います。
私たちは、何かのために生きているのではなく、まさに生きること自体に意味がある。
サンティアゴも四国遍路も、巡礼者もいればツーリストもいます。
鈴木さんは、「巡礼者は何事にも感謝するが、ツーリストは何事にも要求する」という言葉を紹介してくれました。
それを聞きながら、「幸せ」を感ずるのはどちらだろうと考えました。
たぶん要求するツーリストではなく、感謝する巡礼者でしょう。
幸せは、自分の中にある。
巡礼は、そんなことも気づかせてくれるのでしょう。
サンティアゴへの道も四国遍路も、人をやさしくするインフラだという話も出ました。
鈴木さんは、巡礼に行くと生命力がチャージされるような気がするとも話されましたが、それもまたそこが生命力をチャージするインフラになっているのかもしれません。
そのインフラは、そこを歩く人やそこに住んでいる人が育てているわけですが、どうしてそういう場所だけが、人のやさしさを引きだし、生命力をチャージする場になっているのか。
言い換えれば、それ以外の場所、つまり私たちが日常生活を過ごしている場所はなぜそうではないのか、それは私たちの生き方につながっているはずです。
巡礼の途中では、さまざまな人とさりげなく出会うわけですが、それは同時にさまざまな人生や価値観に触れることでもあります。
ベルギーの女性と話していたら、その人が急に泣き出した。
自分は人から見たらとてもハッピーなのだろうが、何か充実感を感じられずにもやもやすることも多く、巡礼に来たのだそうです。
幸せそうに見えても、幸せを実感できない人は、たぶん少なくないでしょう。
これもまた、とても身近な話です。
夫婦で巡礼に来ているカップルの歩き方の話はとても興味深かったです。
たとえば、宿泊するところだけ一緒で、歩くのはそれぞれ自分のペースで別々に歩くとか、逆に一緒に歩くのだけれども、宿泊場所は別のところにするとか、いろんな歩き方があるようです。
これもなにも巡礼に限らず、日常生活にも活かせる知恵のような気がしました。
鈴木さんの話を聞きながら、こういうことをいろいろと考えていたのですが、書きだすときりがありません。
鈴木さんが次から次へと話したいことが出てきたように、私も次々と思いを馳せたくなって、なかなか報告がまとまらず、報告が遅れてしまったのですが、私自身が感じたことはまた別のところに書くことにして、これくらいでやめます。
もちろん実際に巡礼に行くときのアドバイスなどの話もありましたが、もし巡礼やお遍路に出かける方は、鈴木さんにお尋ねになれば、いろいろと体験談を話し、アドバイスしてくれるはずです。
私にご連絡いただければ、鈴木さんのメールにつなげます。
長い割には、昨日のサロンの、ほんの一部しか報告できませんでした。
鈴木さんはもしかしたら春になったらまたサンティアゴに出かけそうですが、夏に戻ってきたら、またサロンで話してもらおうと思います。
なにか一番大事なことを忘れているような報告になってしまいましたが、お許しください。
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